推理ドラマには、“犯人探し”はもちろん、トリックや動機の解明など、視聴者を惹きつける要素が数多くある。視聴者自身が推理し、答え合わせをすることも楽しみ方の1つだ。
そんな推理ドラマに欠かせないのが「凶器」の存在である。犯人にとって、物的証拠となる凶器をいかに隠すかは非常に重要なポイント。犯人や動機が判明しても凶器が見つからない……となると、事件を捜査する側にとっては大ピンチだ。
だからこそ、犯人は凶器の特定を防ぐために頭を絞り、発見されないよう細心の注意を払う。そのため、時に信じられないようなものが凶器として使われることもあった。
今回はこれまで推理ドラマで実際に登場した、視聴者が予想もしなかったとんでもない凶器について紹介したい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■確かに尖ってはいるけど…『相棒』冷凍イカ
放送開始から25年以上経った今も愛され続けている長寿ドラマ『相棒』。本作では数多くの殺人事件が描かれてきたが、その中でもいまだに話題になるほどの凶器が存在する。それが登場したのは、season2の第3話「殺人晩餐会」だ。
物語は、杉下右京と亀山薫たちが山中の三ツ星高級レストランで食事をするところから始まる。優雅に食事を楽しむ彼らだったが、激しい雨による土砂崩れで一行は孤立。おまけにそんな中、殺人事件が発生する。
生け花の流派・黛流家元の跡継ぎ候補だという被害者は、鋭利なもので刺されて亡くなっていた。事件直前に次期家元をめぐる言い争いがあったことからも、つい生け花関係者を疑ってしまいそうになる。
しかし、真犯人はシェフで、動機は店の評価が三ツ星から二ツ星になることを恐れたためである。
実は被害者は覆面審査員で、レストランの星の評価をする立場だった。シェフはその事実と、彼が自分の店の評価を下げるつもりでいることを知ってしまい、思わず殺害してしまった。そして、そのシェフが犯行に使用した凶器は、まさかの「冷凍イカ」……。
犯人はイカで被害者を刺殺した後、あろうことか証拠隠滅のために調理して客に提供。偶然にもそれを食べてしまった亀山は、あまりおいしくないと微妙な反応をしていた。
この反応をきっかけに右京がひらめき、亀山が食べたイカだけ茹で時間が異なったと推察。最終的に、イカが凶器として使われたことを突きとめたのである。その肝心の凶器は、亀山が食べてしまったのだが……。
また、『相棒』には「便座」が凶器となった事件もある。100キロ以上ある妻を便座にハメて餓死させるというもので、これもまたぶっ飛んだ発想だった。
■ちょっとかわいそう?『科捜研の女』マラッカ亀
『相棒』と同じく長い歴史を持つ『科捜研の女』は、沢口靖子さん演じる法医研究員・榊マリコが、科学の力であらゆる事件を解決していく物語で、2026年1月に「FINAL」が放送された。本作にも、まさかの凶器が登場するエピソードがある。
それが『科捜研の女 2022』の第5話だ。大学の「動物音声学研究室」に所属する助教授が殺害された事件で、その凶器が視聴者の注目を集めた。
凶器として用いられたのは、なんと「亀」。犯人は亀の甲羅で被害者の頭部を殴りつけ、殺害したのである。作中に登場した「マラッカ亀」は実在しない架空の亀だが、大きな亀の甲羅が相当な硬度を持つことは想像に難くない。それにしても、勝手に凶器にされてしまった亀がかわいそうでならない……。
ちなみにこのエピソードは、犯人の姿を目撃したのがサルだけというのも特筆すべき点。動物音声学研究室が舞台となっているからか、動物尽くしの事件だった。
「亀」という奇想天外な凶器を特定できたのは、科学の力があってこそだ。科学捜査によって被害者から亀のDNAが検出され、日本には生息しないマラッカ亀にたどり着いたことが、事件解決の糸口となった。
数ある推理ドラマの中でも、「亀」というか動物を凶器にした例はかなり珍しいだろう。非常に斬新かつ、凶器の特定が困難な犯行といえる。科学捜査がなかったら一体どうなっていたのだろうか、と想像をめぐらせてしまった。


