■オリジナルの“架空の銃”の存在も

 ところで、アニメや漫画の世界には、現実には存在しない“架空の銃”も多く登場する。

 たとえば『ジョジョの奇妙な冒険』のグイード・ミスタの愛銃は、外観こそ〈スミス&ウェッソンM49〉に似ているが、装弾数などの仕様が異なり、ファンの間でも「実在モデルか創作か」で議論が絶えない。こうした実在モデルを思わせる架空の銃は、リアルとフィクションの境界を曖昧にし、キャラクターの個性をいっそう際立たせている。

 また、『銀河鉄道999』で星野鉄郎が手にする“戦士の銃”は、完全な創作武器でありながら、命を懸けた決意や成長の象徴として印象深く描かれる。『攻殻機動隊』シリーズでトグサが使うマテバ社製リボルバーも、実在のメーカー名を冠しつつも、作中では未来的な改良が施されたオリジナル仕様となっていた。

 

 実在の銃であれ、架空の銃であれ、これらの銃に共通するのはキャラクターの信念や内面を映し出している点だ。銃を撃つ一瞬の静寂、構える姿勢、引き金を引くまでの間合い――そのすべてが、キャラクターの人物像を語る手がかりとなる。だからこそ視聴者は、彼らが愛銃を手にするたびに、その覚悟や選択、背負っているものを直感的に読み取ることができるのだろう。

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