怪盗キッドに服部平次 『名探偵コナン』“偽新一”が登場したエピソードの画像
名探偵コナンDVDコレクション 12 (C)青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996

 青山剛昌氏による『名探偵コナン』(小学館)の主人公・工藤新一は、どんな難事件も次々と解決する高校生探偵だ。彼は謎の薬「APTX4869」によって幼児化させられ、江戸川コナンとして正体を隠しながら事件解決に奔走している。

 最近は灰原哀が開発した“解毒剤”の試作品のおかげで、コナンは必要に応じて一時的に新一の姿に戻れるようになった。しかし、初期の頃はそれができずピンチに陥ることもあったうえ、現在でも解毒剤をそう頻繁に飲むわけにはいかない。

 そんな時に助けてくれるのが、新一に変装できる協力者たちだ。一方で、その存在を悪用されてしまうエピソードもある。今回は、さまざまな理由で作中に登場した「偽新一」のエピソードを振り返っていく。

 

※本記事には作品の内容を含みます 

■何度も新一に変装してきた服部平次

 最初に紹介するのは、新一の良きライバルである「西の高校生探偵」・服部平次だ。彼はかなり早い段階でコナンの正体に気付き、以降は彼の協力者となった。顔立ちが似ていることを活かし、新一の“代役”を務めたこともある。

 服部が最初に新一を演じたのは、コミックス26巻で描かれた帝丹高校の学園祭でのこと。当時、毛利蘭がコナンの正体を疑い始めていたため、コナンと新一が同時に存在する状況を作り出してその疑いを晴らそうとしたのだ。しかし、そんな中で殺人事件が発生する。

 服部は新一になりきって事件解決に挑むが、関西弁が抜けず蘭への対応もぎこちない。案の定、その場に居合わせた遠山和葉にすぐに見抜かれてしまった。変装は髪型を変えファンデーションを塗っただけの簡易的なものだったが、それでも一応似ているのが驚きだ。

 次に変装したのは、コミックス42巻の「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」である。この時、黒ずくめの組織の一員・ベルモットがコナンの正体に気付いており、彼をパーティーに招待して動向をうかがおうとしていた。

 ベルモットは同時に灰原の命も狙っていたため、コナンは2つの事態に同時に対処しなければならなかった。そこで、パーティーで起きた事件を新一が解決したという状況を作るため、服部に協力を依頼した。
 事件を監視していた組織のメンバー・ウォッカは、死んだはずの新一の姿を見て驚いている。服部はコナンの指示通りに動き、組織の目を欺くのに成功したのである。このときは新一の母・工藤有希子の変装技術によって姿を変えていたため、前回とは完成度が段違いだった。

 このほか、コミックス94巻からの京都修学旅行のエピソードでも、服部は新一の代役を務めている。この時、新一は解毒剤で一時的に元の姿に戻っていたが、薬の効果が切れればコナンに戻ってしまう。だからこそ、その時間帯の代理を服部に頼んでいたのだ。

  このときは新一の変装はしていないが、サングラスとマスクで顔を隠して新一たちを尾行したり、狭いベッドの下に隠れて待機したりと、なかなかの仕事ぶり(?)を見せていた。

 コナンはかなりの無茶ぶりをしていると思うが、服部本人もそのスリリングな状況をどうも楽しんでいるようだ。

■原作では実は1回だけ?新一と瓜二つな怪盗キッド

 怪盗キッドは新一の変装をよくするイメージがあるかもしれないが、実は原作本編では一度しか描かれていない。

 新一の変装のイメージが強いのは、おもに劇場版での活躍によるものだ。劇場版では『世紀末の魔術師』をはじめとして『銀翼の奇術師』『天空の難破船』『業火の向日葵』『紺青の拳』と、5回も新一の姿になっている。

 そんなキッドが原作で初めて新一に変装したのが、コミックス105巻の「コナンとキッドの共同推理」である。このエピソードでキッドは、宝石を盗みに入った先で殺人事件に遭遇し、疑いをかけられてしまうのだ。

 無実のキッドは真相を突き止めるため、コナンと一時的に協力。コナンに出された条件に従って、新一として振る舞うことになった。

 キッド(黒羽快斗)と新一は素顔が瓜二つなので、服部の場合と違って周りから偽物だと疑われることはなかった。協力して事件を解決に導く2人の連携も見事だ。

 劇場版で共闘を重ねてきた2人だけに、そのやりとりは実に自然である。また、新一として蘭に接するキッドの姿も微笑ましく、印象的だった。

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