■スタイリッシュな設定とデザインは海外からも注目!

 1970年代後半に『スター・ウォーズ』(1977年)などアメリカのSF映画が人気になると、特撮ヒーローでも宇宙を扱った作品が増え始める。『ギャバン』の敵マクーは宇宙犯罪組織であり、なによりギャバン自身が半分だけとはいえ異星人だ。

 マクーの首領ドン・ホラーが命じて作られる魔空空間という異空間の設定も秀逸だ。「魔空空間に引きずり込め!」というセリフを真似した視聴者も多いのではないだろうか。

 ギャバンの活動拠点となる超次元戦闘母艦ドルギランは、宇宙だけではなく「魔空のはてまでひとっ飛び」できる。ギャバンのコンバットスーツはこの母艦に保管され、蒸着のコールとともに転送される仕組みだ。

 そして戦闘母艦の正体は、別名“ギラン円盤”の下部に“電子星獣ドル”がドッキングしたもの。戦闘時には分離し、大きな竜の姿になったドルの頭上にギャバンが乗り、指示する姿にワクワクした。

 支援メカは他にもある。ドルギランに格納されている宇宙サイドカー「サイバリアン」は、地上どころかあらゆる次元や空間に突撃可能。同じく格納されている宇宙戦車「ギャビオン」は分離・合体可能で、さらにドリルタンク「スクーパー」を内蔵。これらのメカデザインも素晴らしく、おもちゃも楽しめた。

 さらにギャバンが所持する武器「レーザーブレード」も存在感があった。そこには『スター・ウォーズ』のライトセーバーをはじめ、アメリカのSF映画の影響が感じられたが、のちに『ギャバン』のデザインはハリウッド映画『ロボコップ』(1987年)に影響を与えたというから面白い。

 そんなギャバンのデザインを生み出したのは、数々のスーパー戦隊ヒーローやロボットを手がけ、「超合金の生みの親」とされる村上克司さんである。

 あのピカピカのメタルボディーの宇宙刑事は、こうした魅力で当時の子どもたちの人気を集め、海外のファンからも支持されていった。


 40年以上前に『宇宙刑事ギャバン』が切り拓いた「メタルヒーローシリーズ」は、大きな括りとして1998年放送の『テツワン探偵ロボタック』まで含めると計17作品が世に送り出された。

 もしも「スーパー戦隊シリーズ」が終わったあとに、一部メディアが報じている「令和版ギャバン」のような作品が放送されるとしたら、往年の特撮ファンにとっても見逃せない作品になるはず。一刻も早く、公式発表を待ちたいところだ。

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