■東映まんがまつり初の特撮作品同士のクロスオーバー『ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』(1978年3月18日公開)
1978年春の「東映まんがまつり」にて公開された『ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』。同作は、最初のスーパー戦隊『秘密戦隊ゴレンジャー』と、第2作『ジャッカー電撃隊』の共演作品である。
平成に毎冬公開されていた劇場作品、現在の「VSシリーズ」こと通称「スーパー戦隊祭」(2009年~2017年)の原型とされている。
2作品ともテレビ放映が終わってからの映画化であり、同作が公開された1978年は第3作『バトルフィーバーJ』(1979年)までの間、唯一「スーパー戦隊シリーズ」のテレビ放送が途絶えた年でもある。
ジャッカーの活躍で敵組織・クライムが滅び、地球に平和が戻った。ところが謎の円盤が出現し、飛行要塞スカイエースで追跡。それはジャッカーたちをおびき出すワナで、ジャッカー側の組織である科学特捜隊が襲われてウランを強奪されてしまう。
実はクライムは滅びておらず、世界中でヒーローたちが交戦していた事実が判明するのだ。
一方、とある工場に潜入していたスパイが殺され、ジャッカーの桜井五郎(スペードエース)とカレン水木(ハートクイン)は怪しい女性を発見。その人物は『秘密戦隊ゴレンジャー』のペギー松山(モモレンジャー)だった。
スパイの遺体に残されていた暗号にあった場所に向かうと、そこにはジャッカーがかつて倒したクライム四天王の姿が。
空中要塞バリドリーンで他のゴレンジャーも駆け付けて、ジャッカーと合流。ゴレンジャーとジャッカーそれぞれの必殺技を合わせた「ゴレンジャーハリケーン・ビッグボンバー」で敵の四天王ロボを撃破。
かろうじて円盤で逃げた首領「鉄の爪(アイアンクロー)」も、ジャッカーチームのビッグワンの工作で爆死。戦いに勝利したジャッカーとゴレンジャーは、互いの健闘を称え合って物語は終わる。
この『ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』では、最初にペギー松山が怪しい存在として描かれた以外は、両チームでの対決の構図はなかった。とはいえ、「東映まんがまつり」にて「対」というタイトルのついた永井豪アニメを観てきたファンからすれば、もはや定番の流れにしか思えなかった。
なお、同作ではモモレンジャー以外のゴレンジャーチームが変身後の姿しか登場せず、声だけの出演だったのは少々残念に感じた。
昭和の子どもたちにとって「東映まんがまつり」は、春休みや夏休みの風物詩ともいえる特別な興行だった。そこに別作品の正義の味方同士による「対」や「VS」と銘打たれたタイトルがあれば、昭和キッズが胸をときめかせるのも当然だろう。
なお、そういった作品をたくさん送り出した永井豪氏は、自身の著書『激マン!』(日本文芸社)の中で、(東映まんがまつりでの)「対」とは「たい(対立)」ではなく「つい(二つ揃い)」だと語っていた。
異なる作品によるクロスオーバーは、今でこそさまざまなメディアで楽しめるようになったが、当時はそのような夢の共演が見られるのは「東映まんがまつり」くらいだった。皆さんは「東映まんがまつり」と聞いて、どのような作品を思い出すだろうか。


