イギリスのスパイ・アクション小説を原作に、毎回豪華な俳優陣と圧巻のアクションシーンで観る者を虜にしてきた映画『007』シリーズ。
11月6日、H2 Interactiveによる同シリーズを原作としたゲーム『007 ファースト・ライト(First Light)』のPS5、Nintendo Switch2用のパッケージ版が2026年3月27日に発売されることが発表となった。
これまでにも多くのゲーム作品が作られてきた『007』シリーズだが、なかでもその圧倒的な完成度とさまざまな遊び要素でプレイヤーをのめり込ませたのが、1997年にNINTENDO64用ソフトとして発売された『ゴールデンアイ 007』(任天堂)ではないだろうか。
今回は、当時の子どもたちはもちろん、高い完成度で大人も夢中にさせた、64の名作『007』を振り返っていきたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■「ミッションモード」の豊富なシナリオ
1997年に発売されたFPS『ゴールデンアイ 007』は、タイトルの通り、1995年公開の映画第17作『007/ゴールデンアイ』をモチーフとした作品となっている。
プレイヤーは諜報員・007ことジェームズ・ボンドとなり、衛星兵器「ゴールデンアイ」の秘密を探るべく、さまざまなミッションへ挑んでいくこととなる。
ストーリーモードでは原作映画をなぞる形で各ステージを攻略していくのだが、なかにはゲームオリジナルの展開もあり、映画では描き切れなかった細かい点が補完されている。
手に入れた武器で群がる敵を撃破していくのみならず、制限時間内にギミックを解いて脱出したり、特定のNPCを護衛したりと、ときには頭を使うミッションが用意されていることも。
主観視点による没入感も相まって、原作映画のなかに入り込み、過酷なミッションへと挑んでいく感覚を味わうことができるのだ。
また、メインストーリーをクリア後、他の原作映画をモチーフとしたボーナスミッションが用意されているのも、ファンにとってはたまらない点だろう。
ボーナスミッションでは、シリーズ第9作『007/黄金銃を持つ男』やシリーズ第11作『007/ムーンレイカー』やといった歴代作品のテイストを絶妙にミックスさせた、オリジナルの展開が繰り広げられていくことに。
もちろん、原作同様のキャラクターたちも健在で、鋼鉄の歯を持つ殺し屋・ジョーズや、幾度となく蘇る不気味な男・サミディといった名物ヴィランと対決することができる。
これらのキャラクターは後に記載する対戦モードでも実際に操作することができ、原作を知るプレイヤーにとっては、なんとも嬉しいファンサービスといえるだろう。
■クリア後にハマる「お楽しみモード」
原作要素をFPSとして絶妙に再現するのみならず、ゲーム作品ならではの少しぶっ飛んだ遊び方が用意されているのも、本作の大きな魅力だろう。
それが、ミッションをクリアすることで遊べるようになる、“お楽しみモード”の存在だ。
これは一度クリアしたミッションに対し、特殊な設定を付与した状態で遊ぶことができるという、文字通りお楽しみ要素となっている。
クリア条件によって解放されるモードが変わってくるのだが、あらゆる攻撃を受け付けない「無敵モード」や最初から全武器を使える「オール武器モード」など、使うだけでゲームバランスが崩壊してしまうレベルのものも珍しくない。
相手や自分の速度が変わるターボ、スローといった設定や、敵に発見されなくなる「透明人間モード」、頭と腕が大きくなる「DKモード」などなど、現実ではありえないとんでもない状態でミッションに挑戦できる。
珍妙な敵の挙動を笑うもよし、豊富な火力で相手を圧倒するもよし……なかには設定を変えたことでミッションそのものが成り立たなくなったりと、普段は起こり得ない奇妙な現象が発生するのもご愛嬌といったところだ。
モードを開放するためには、それぞれのステージを特定のタイムで攻略する必要があるのだが、各種設定をいじることで同じステージをまったく別のテイストで楽しめるのは、実にうまい仕組みと言えるだろう。
かくいう筆者も最強の状態で爽快感を味わったり、限られた武器だけで高速化した敵を相手取ったりと、気が付けば自分で作り上げたオリジナルのミッションにのめり込んでいた。
モードを開放するだけでも苦労するのだが、それがクリア後の新たな目標となってやる気を奮い立たせることに。幾度となく同じミッションに挑戦し、クリア時間の数字を見ては一喜一憂したものである。


