■赤のタイト衣装で弾ける“ドタバタくノ一”『銀魂2』夏菜
2018年公開『銀魂2 掟は破るためにこそある』で夏菜さんが演じたのは、猿飛あやめ(さっちゃん)だ。原作ファンにはおなじみの、“恋も戦いも全力暴走くノ一”である。
紫のウィッグに赤い眼鏡、そして全身を包む鮮烈な赤のタイトな衣装。夏菜さんといえば『GANTZ』(2011年)で演じた岸本恵役のセクシーなコスチュームも印象的だったが、今回はそれとは異なる方向で、元気で可愛らしい魅力が弾けるインパクトを残した。
主人公・坂田銀時に惚れ込み、ストーカーまがいに追いかけまわす。恋心が空回りして涙したかと思えば、銀時にぞんざいに扱われることすら楽しんでしまう一面も。そうかと思えば、突然スイッチが入って忍者モードに突入するなど、まさに“忙しい可愛さ”のオンパレードだ。そのテンションは、まさに原作からそのまま飛び出してきたかのようだった。
夏菜さんは「出来る限り、原作に忠実に演じようと思って努力しました」と語っており、細やかな仕草や表情の切り替えを徹底的に研究したという。衣装のインパクトだけに頼るのではなく、コミカルな“表情芝居”でキャラクターの愛嬌を増幅させ、衣装とのバランスを巧みに取ってみせた。
観る者の目を惹く真っ赤な“ピチピチ衣装”と、夏菜さんの全身全霊の表現。その2つが合わさることで生まれたのは、破天荒ながらも愛らしく、ちょっと不器用な“実写ならではのさっちゃん”だった。
女優たちの持つ美しさ、スタイルの良さを際立たせる“タイトなピチピチ衣装”は、ただの視覚的インパクトで終わらない。それはキャラクター性を際立たせ、俳優の身体表現と気迫を引き出すための特別な装置ともいえるだろう。
今回取り上げた3人に共通するのは、衣装に頼るのではなく、衣装と一体になってキャラクターを“生かし切った”点だ。素材の質感や光沢以上に、着こなす覚悟とほとばしる熱量こそが、スクリーンで圧倒的な存在感を放つ“最強の一着”を生んだのである。
次はどんなヒロインが、どんな衣装でスクリーンを沸かせてくれるのだろうか。実写化へのワクワクは、まだまだ止まらない。


