■ここまで来るともはや脱帽!? 寝ながらピンチに駆けつける我妻善逸
炭治郎、伊之助と並ぶ主要キャラクターの1人・善逸もまた、常人離れした感覚の持ち主だ。善逸は特に聴覚が優れており、人や鬼の感情を「音」として聞き分けることができるキャラとして描かれている。だが、彼の第六感”はそれだけではなかった。
前述した無限列車編において、善逸もまた魘夢の術にかかり、深い眠りに落ちてしまう。自力で目覚めた炭治郎に続き、伊之助も目を覚ますものの、善逸は一向に目を覚ます気配がない。だが、その間にも戦いは熾烈を極め、禰󠄀豆子も炭治郎たち鬼殺隊士同様、乗客たちを守るために孤軍奮闘していた。
だが、無限列車と融合した魘夢の触手が襲いかかり、禰󠄀豆子は囚われてしまう。絶体絶命の危機に陥ったその時、颯爽と助けに現れたのが善逸だった。
善逸は眠ったままあっという間に「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃 六連」で触手を蹴散らし、「禰󠄀豆子ちゃんは 俺が守る」という明言を残した。まさにヒーローのような活躍を見せた善逸に痺れたのは筆者だけではないだろう。
だが驚くべきは、この時善逸はまだ魘夢の術中、つまり夢の中にいたというところだ。意識もない状態にもかかわらず、禰󠄀豆子の危機を察して身体が反応したのである。これはもはや聴覚という五感を超えた、第六感としか言いようのない能力であり、彼の持つ潜在能力の凄さがうかがえるシーンだった。
■未来を見通す先見の明! 無惨の襲来を分かっていた産屋敷耀哉
戦闘員ではないものの、特異な能力を持つキャラもいる。その筆頭が、鬼殺隊の当主・産屋敷耀哉だ。彼は卓越した先見の明を持ち、その予見能力で鬼殺隊を率いてきた。
ただならぬオーラをまとった彼は、聞く者に安らぎを与える特異な声を持ち、心服させるカリスマ性を持つ。そんな不思議な魅力を持つ耀哉だが、彼の先見の明は宿敵・鬼舞辻無惨の動向までも捉えるほどだった。
自らの死期と、近く無惨が産屋敷邸を訪れることを予見した耀哉は、己の命を囮にした壮大な計画を立てる。屋敷中に大量の爆薬を仕込み、妻と子どもたちとともに、無惨を道連れにする覚悟で彼を待ち構えていたのだ。
さらに、無惨が爆発から生き延びた場合のことを想定し、鬼殺隊最強の岩柱・悲鳴嶼行冥を近くに配置し、さらには鬼でありながら無惨を憎む珠世の協力も取り付けていた。
無惨の配下の鬼でさえ予測不可能な彼の行動を正確に読む、まさに第六感で絶好の機会をうかがっていた耀哉。さらに自らの死をもって隊の士気を上げるとは、さすがは鬼殺隊の当主と言ったところだろう。
人間離れした第六感を発揮して絶体絶命の危機を乗り越え、格好のチャンスを作ってきた『鬼滅の刃』のキャラクターたち。理屈では語れないこの第六感は、極限状態だからこそ生まれた直感や予知能力であったと言えるだろう。
劇場版ではいよいよ宿敵・鬼舞辻無惨との戦いが描かれる。まさに最終決戦となる無限城での戦いでも、彼らの第六感は発揮されるのだろうか。今後もその描写に注目して、見届けたいと思う。


