■キン肉マン史上、最も多彩な技を持つ! 「地獄の九所封じ」の恐ろしさ

 「地獄の断頭台」と並ぶ悪魔将軍の代名詞といえば、やはり「地獄の九所封じ」ではないだろうか。この技は、超人にある9つの急所を的確に攻めて、動きを封じるというもの。キン肉マンを相手にこの技を繰り出し、多彩な攻撃の数々を披露した。

 まず第1は、相手を空中に放り投げ、頭と足を持って背中から突き落とす「大雪山おとし」。悪魔将軍の汗によりダイヤモンド硬度と化したリングに叩きつけられたキン肉マンは、背中の感覚を失う。

 続く第2、第3は、両腕をロックして高速回転で投げ固める「スピン・ダブルアーム・ソルト」。両腕の感覚を封じ込める恐ろしい技だ。そして第4、第5の「ダブル・ニー・クラッシャー」で、両脚の自由を奪う。

 その後もキン肉マンを抱えて後方に投げ落とし、そのままリングに頭を突き刺す第6の「カブト割り」を披露。さらに上空から頭のツノで腹部を貫く第7の「ストマック・クラッシュ」と、息つく暇もなく技が繰り出される。

 “火事場のクソ力”もあり、第8の「パイル・ドライバー」、第9の「超人圧搾機」はなんとか防いだキン肉マン。だが実は、最後の2つの技は最後の急所を攻めるための布石だった。

 悪魔将軍はキン肉マンの健闘を称えるふりをして握手を求め、手のひらにある思考能力を司るツボを攻撃。そして、最後の急所である首を狙い「地獄の断頭台」を放つ。

 偶然にもキン肉マンがとっさにロープを握ったことで不発に終わったが、それにしても投げ・打撃・極めと三拍子揃った技を披露し続けた悪魔将軍のインパクトはあまりにも大きかった。

 『キン肉マン』史上でもっとも多彩な技を持ち、加えて緻密な戦略を練る知力まで持ち合わせていた悪魔将軍。その恐ろしさに手に汗を握ったのはもちろんだが、どのような相手にも圧倒的な強さを堂々と見せつけ、なおかつ個性的でカッコ良すぎる必殺技に酔いしれたものだ。

 

 連載当時は、悪魔将軍の圧巻の強さに「絶対に勝てない」と感じた読者も少なくないだろう。事実、その後の「キン肉星王位争奪編」や「完璧超人始祖編」に登場した強敵と比べても、彼ほどキン肉マンを絶望の淵に追いやった相手はいなかったように思う。

 アニメ新シリーズでは、この悪魔将軍がどのような活躍とカリスマ性を見せてくれるのか、今から楽しみで仕方がない。

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