TVerのお気に入り登録数も135万人を超え、秋ドラマでもトップクラスの人気作品となったTBS系ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』。
10月28日に放送された第4話で描かれたのは、鮎美(夏帆さん)と新恋人・ミナト(青木柚さん)の恋模様とそこに絡む勝男(竹内涼真さん)の一途な想い。
“むかつく男”から“憎めない男”、そして“応援したい男”へと怒涛のバージョンアップを続ける主人公・海老原勝男が、偶然の流れからミナトと初対面を果たし、二人の真逆の恋愛観が浮き彫りになるエピソードだった。
初対面から鮎美にグイグイと距離を縮めていたミナトだが、今話で明らかになったのは彼のラフで微妙に危うい恋愛観であり、視聴者からは鮎美への心配の声も相次いだ。
ミナトこそ、今期のヒット作となった同ドラマのキーパーソンになってくるのかもしれない。そして、そんな危うくも魅力的なミナトを演じる俳優・青木柚さんにも注目が集まっている。
■勝男とは正反対?!賛否を集めるミナトの恋愛観
鮎美がふと立ち寄った酒屋で出会ったミナトは、人懐っこく女性の扱いにも慣れている若者だ。見ている側は彼の距離の詰め方に警戒心を抱くも、鮎美は彼の穏やかな優しさに心を掴まれ急接近。第3話ではついに付き合うことになった。未練を引きずりながら料理に没頭する勝男とは真逆に進んでいるが、この展開の早さには視聴者から心配の声も寄せられていた。
その声が現実になったかのように第3話終盤では、ミナトが複数の女性と付き合ってはすぐに別れる「大量消費型恋愛体質」だと明かされる。勝男は鮎美を心配するもなすすべがなく、第4話では二人が同棲を始めてしまい、さらに心がかき乱されていく。
ただ、鮎美とミナトの恋は順風満帆というわけではない。大きな要因は価値観の違いである。相手に尽くし求められることでアイデンティティを確立してきた鮎美は、ミナトにも家を掃除したり深夜にオムライスを作って待ったりと世話を焼くが、マイペースなミナトに「尽くし型の愛」が響かないのだ。
第4話では、食べて欲しい鮎美と食べたい勝男が別視点でオムライスを作り、鮎美を想う勝男が自分の名前をオムライスに書くという一途な演出がされていたが、ラフな恋愛思考のミナトにはこういった一途さがない。感謝はしつつも、ケチャップで「ミナトさん」とハートマークつきで描かれたオムライスを後日に回すなど行動も伴っていないのだ。
そんなところが、視聴者から「ミナトは付き合いたくないタイプ」と言われてしまう原因だろう。
鮎美はモヤモヤを募らせていたが、そもそもミナトは初めから「食事は外食でいい」「掃除も無理しなくていい」と言うタイプで、世話を求めていない。この時点でも鮎美とは大きくズレが生じている。
一方で、鮎美をないがしろにしているわけではない。一緒にいたいから同棲を提案してサボテンをプレゼントし、元カノのことも話している。これらは彼なりの好意の表れであり、鮎美や勝男の愛情表現とは違うところも違和感を生んでしまう一因かもしれない。とにもかくにもフィーリング型なのだろう。
その後ミナトは、偶然店を訪れた勝男と初対面。なんとか冷静さを保とうとテキーラを飲む勝男に対し、一緒に食べませんかとトルティーヤを出し「一生懸命飲んでてかわいい」と鮎美に言った言葉と同じような言葉を勝男に言う。
この行動でわかるが、彼の距離感の近さは男女問わずだ。勝男がひたすら一途なので軽く見えてしまうものの、元カノたちとの関係も良好なうえに人当たりもよく、現実でもミナトのような人は総じて人気が高い傾向がある。女性目線から見るとそれでも付き合うのはちょっと、と思ってしまうが……。
そして極め付けは、鮎美の新恋人であるミナトに観念したのか、勝男が、「手料理をおいしく食べてあげてほしい。手が荒れやすいから食器用洗剤は植物性で。時々高いアイスも買ってあげて」などと助言をした場面。勝男が鮎美への愛を託したセリフだったが、ミナトはこれに、「鮎ちゃんは誰かに任せなくても大丈夫。だって強いですから、僕らよりずっと」と返している。
確かに鮎美にはしたたかな強さがあるが、同時に自分を見失いがちで弱い。どういう意味で「強い」と言ったかは定かではないが、6年間鮎美と歩んできた勝男とは見方が違うことは確かだ。そして、相手の本質を見つめることができる勝男こそが、やはり鮎美にぴったりの相手なのかもしれない。そう感じさせる場面でもあった。


