■鋭敏な触覚で攻撃の予知!? 高すぎる戦闘センス
前述したように伊之助は類い稀なる触覚の持ち主だ。山で培われたその感覚は極めて鋭敏で、時に攻撃の予知までできる領域にまで達する。
この能力が最大限に発揮されたのが、前述した遊郭編の妓夫太郎戦である。上弦の陸・妓夫太郎の背後からの不意打ちを、内臓を動かすことで回避した伊之助。まるで妓夫太郎の攻撃を予知し、自らの内臓を移動させているような凄技に驚いた人も多いだろう。この一連の動きは、彼の鋭敏な触覚と戦闘センスがあってこその神業であった。
ちなみに、攻撃の予知という点では炭治郎も習得している。刀鍛冶の里編で戦闘用絡繰人形・縁壱零式と訓練した炭治郎は、人間離れした動きを繰り出す人形の攻撃を瞬時に把握し、回避するレベルまで到達していた。
だが、炭治郎が厳しい修練の末に会得したのに対し、伊之助はそれを野生の勘のみで実現させているのである。この点からも、とてつもない天賦の才能の持ち主だということが分かるだろう。
■まさに猪突猛進! 前向きで負けず嫌い…不屈の精神力
伊之助の強さは、その負けず嫌いで常に前向きな精神力にもある。山育ちの彼は常に強者との力比べに明け暮れてきたため、筋金入りの負けず嫌いであり、仲間と衝突することも少なくない。
我妻善逸に「女の子と仲良くしたことないんだろ」とバカにされ、「俺は子供の雌踏んだことあるもんね!!」と応戦。的外れなことを自信満々に豪語するなど、単純明快で裏表のない性格からコミカルなやり取りもたびたび生まれている。
そして、この負けん気の強さは戦闘でも大いに役立っている。強敵を前にしても憶することなく、常に率先して前線に立つのが伊之助だ。那田蜘蛛山編にて、炭治郎が鬼の威圧感に身をすくめていた際にも、「俺が先に行く!!」「お前はガクガク震えながら後ろをついて来な!!」と、檄を飛ばしている。
言葉遣いこそ乱暴ではあるが、窮地で仲間の心を幾度となく鼓舞し、支えてきたことは事実である。
一方、さんざんカッコつけたあとに「腕が鳴るぜ」を「腹が減るぜ!!」と言い間違えるなど、どこか憎めない愛嬌も彼の魅力だ。その強さと純粋さこそが、伊之助が作中屈指の人気キャラクターであるゆえんだろう。
生まれ持った天才的な戦闘センスと、驚異的な身体能力を持つ伊之助。勝ち気な性格も相まって、常に強気で前進していく彼の姿に勇気づけられる人も多いだろう。
那田蜘蛛山編では父蜘蛛との戦いで一度は自信を消失していたが、そこから見事に立ち上がった彼は、以降戦闘において重要な戦力となってきた。
最終決戦である無限城編において、彼の「猪突猛進」な戦いぶりが鬼殺隊に貢献することは間違いない。その勇姿を、最後まで見届けたいものである。


