内臓をずらす“柔軟性”、天賦の才が生んだ“獣の呼吸”、攻撃を予知する“鋭敏な触覚”も…『鬼滅の刃』嘴平伊之助の「驚異的な能力」の秘密に迫るの画像
DVD『鬼滅の刃』第6巻(アニプレックス)©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 吾峠呼世晴氏による漫画を原作とした『鬼滅の刃』の劇場版最新作『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、7月に公開されて以降、前作『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を上回る驚異的なスピードでヒットを飛ばしている。

 公開から101日で興行収入は371億円を突破し、国内の映画史に名を残した前作の興行収入407.5億円という記録にも追いつく勢いだ。

 数々の魅力的なキャラクターが登場する本作において特に異彩を放つのが、「猪突猛進!!」の口癖で知られる、猪の頭を被った剣士・嘴平伊之助だ。人間離れした身体能力や感覚を持つ彼は、超人たちが名を連ねる鬼殺隊の中でもとにかく目立つ。

 そこで今回は、伊之助の驚異的な能力や凄さを、過去のエピソードと共に存分に語っていきたい。


※本記事には作品の内容を含みます

 

■柔軟性が体内の臓器にも!? 内臓の位置をずらす能力

 伊之助の特筆すべき能力の1つに、常人には到底不可能な身体の柔軟性が挙げられる。作中では仲間たちの前でぐにゃりと体を2つに折り曲げ、「こんなこともできるんだぜ!!」と得意気に披露していた。

 その高い柔軟性から繰り出される技の数々は、伊之助でなければなし得ないものばかり。関節を自由に付け外しできるからこそ、アクロバティックで予測不能な動きも可能なのである。

 そして驚くべきは、彼の柔軟性は体内の臓器にまで及ぶということだ。伊之助は自身の意思で内臓の位置を自由にずらすことができる。彼のその妙技が披露されたのは、遊郭編での上弦の鬼との死闘であった。

 上弦の陸・堕姫の頸をやっとの思いで切り落とし、接合されないように頸を持って走り出す伊之助。しかし、それも束の間、背後から迫ったもう1体の上弦の陸・妓夫太郎に心臓を貫かれる。それは、竈門炭治郎も彼の死を悟り、絶望するほどに致命的な一撃だった。

 だがその後、伊之助は再び戦場に姿を現す。そして「俺の体の柔らかさを見くびんじゃねえ」「内臓の位置をズラすなんてお茶の子さいさいだぜ!!」と言ってのけるのだった。

 心臓などの急所を自在に動かし、致命傷を避けることができるこの能力は、鬼殺隊の中でも唯一無二のものである。山で育ち、常に命の危機にさらされてきたからこそ培われた、戦いに特化した驚異的な能力だと言えるだろう。

■その才能は天才の域!? 自ら生み出した「獣の呼吸」

 伊之助は炭治郎と同じように最終選別を受け、合格したことで鬼殺隊に入隊した経歴を持つ。

 炭治郎は約2年間、育手である鱗滝左近次の元で修行を積み最終選別に臨んだが、伊之助に育手は存在しない。なんと彼は、山で遭遇した鬼殺隊士から力ずくで日輪刀を奪い、最終選別の存在を知ると、その勢いのまま自力で突破してしまったのだ。

 伊之助が用いる呼吸法「獣の呼吸」は、彼が独自に編み出したものである。これは風の呼吸の派生型とされ、その高い身体能力と優れた触覚を活かした野性的な剣技が特徴だ。

 伊之助はノコギリのようにわざと刃こぼれさせた2本の日輪刀を用いて「◯ノ牙」という独自の型を呼称し、突き刺したり、2刀を鋏のように交差させたりと多彩な技を繰り出す。

 さらに、直接的な攻撃法だけでなく「漆ノ型 空間識覚」のように、優れた触覚をフル活用し、周囲の微細な空気の揺らぎを感知。視界の外にいるものまでも的確に捉え、鬼の居場所を突き止めることも可能だ。

 攻撃から索敵にまで長けている獣の呼吸を、独自の戦闘センスで作り上げてしまった伊之助。彼以外にこの呼吸法を使いこなせる者は、後にも先にもいないだろう。

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