下剋上の悲劇! ブラック補佐にベジータ、人造人間17号も…『ドラゴンボール』成り上がりに失敗した悪人の「悲しき末路」の画像
DVD『DRAGON BALL』#9 ©バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 1984年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載が始まった、鳥山明さんの名作バトル漫画『ドラゴンボール』。本作には、主人公・孫悟空に立ちはだかる敵キャラクターが数多く登場する。敵キャラは1人の場合もあるが、組織に属し、仲間とともに悟空を倒そうと企む者も少なくない。

 しかし、敵キャラ同士は必ずしも仲が良いとは限らない。なかには目上のボスを裏切り、自分がその集団のトップに成り上がろうとする悪人も存在した。

 ここでは『ドラゴンボール』に登場する、下剋上を目指すも失敗し、散っていった悪人たちの悲しき末路を振り返っていきたい。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■「たかが自分の身長のために…!?」レッド総裁を撃ち殺したブラック補佐の野心

 『ドラゴンボール』初期に登場する「レッドリボン軍」は、“世界最悪の軍隊”という異名を持つ悪の軍事組織だ。彼らは世界征服を叶えるためドラゴンボールを集めており、その過程で悟空と遭遇することとなる。

 この組織で実質的なナンバー2の地位にいたのが、ブラック補佐だ。彼は組織のトップに君臨するレッド総帥の側近として、補佐的な仕事をしていた。

 しかし、レッドリボン軍は悟空の活躍によって壊滅状態に陥る。ブラック補佐が撤退を進言した際、レッド総帥は「あと ちょっとでわたしの背がのびたのに……!!」と、ドラゴンボールを集めていた真の目的を漏らしてしまう。

 そこで初めてブラック補佐は、レッドリボン軍がこれまで苦労してドラゴンボールを集めてきた目的が、レッド総帥自身のコンプレックス解消のためだったと知る。激怒したブラック補佐はレッド総帥を射殺。「レッドリボン軍はこのオレさまが総帥となって新しくたてなおす」と言い、クーデターを果たすのであった。

 レッド総帥の自分勝手な野望に対し、「そ…そんなことのためになん人の兵が犠牲になったかわかっているのか……!!」と憤ったブラック補佐。レッド総帥とは違って部下想いの一面も見受けられた。もし彼がトップに立っていれば、レッドリボン軍はもう少しまともな組織になっていた可能性も否定できない。

 だが、クーデター直後に現れた悟空にブラック補佐は「いっしょに全世界を 手にいれないか?」と共闘を持ちかけている。この言動から、やはり彼もまた世界征服の野望を抱く悪人であることがうかがえる。

 最終的にブラック補佐は悟空に敗北するが、このシーンで素直に降参しておけば、命を落とさなかったのはもちろん、まっとうな道を歩むこともできたかもしれない。

■打倒フリーザ! プライドが生んだベジータの反逆のシナリオ

 『ドラゴンボール』の中でも複雑な関係性があるキャラとして描かれているのが、サイヤ人の王子・ベジータと、宇宙の帝王・フリーザだ。

 当初、ベジータはフリーザ軍の戦闘員として活動していたが、内心では反逆の機会を虎視眈々と狙っていた。そのベジータの反逆計画が本格化するのが「フリーザ編」でのこと。

 ベジータはナメック星でフリーザ軍とは別行動を取り、フリーザの部下を次々に倒し、ドラゴンボールを独占しようと画策していた。彼はドラゴンボールで不死身の身体を手に入れ、フリーザを倒し、全宇宙を支配しようと目論んでいたのである。

 結果的にこのベジータの願いは叶わなかったが、“瀕死の状態から復活すると戦闘力が大幅に増す”というサイヤ人の特性を活かし、わざとクリリンに致命傷を負わせてもらい、デンデの力で復活。念願通りパワーアップを果たし、フリーザに戦いを挑むのであった。

 誇り高きサイヤ人の王子であるベジータは、たとえ自身の生まれ故郷・惑星ベジータがフリーザに滅ぼされていなかったとしても、ずっとフリーザの配下であり続けることは考えにくい。不老不死になるという強引な手段で絶対的な強者に挑もうとするのは、彼のプライドの高さの表れとも言えるだろう。

 しかし、実際にフリーザと戦うとその実力差はあまりに歴然としていた。そしてベジータは、これまで経験したことのない絶望を味わい、涙を流すこととなるのである。

  1. 1
  2. 2
  3. 3