■そして第6話で見せた「向き合いたい」からの…
このような具合に微妙な距離感のままホカンス生活がすぎていったのですが、ユウマの真骨頂は最新第6話にも登場しています。
『ラブトラ』には1日の終わりに匿名メールでアピールするというシステムがあり、ユウマは何度もしおりに送り続けていますが、しおりは無反応を貫きます。そんな状況にユウマは悩み、スタッフの前で「想い続けることはしんどい」と号泣して「この壁をパンチしたいですよ!」など独特の表現で演説するも、スタッフは「どういう意味ですか?」とすっとぼけ。スタッフも思うところがあるのだろうなと感じてしまいます。
一方、しおりを自室に招き思い出の地・江ノ島水族館で買ったというお土産を渡します。楽しかったころの記憶が蘇り和やかな雰囲気が流れ、スタジオも安心します。さらに、恋人時代に一緒に貯めていたという500円貯金箱をしおりの視線の先に置いておき、「これ懐かしい!」と彼女が食いつくと、「向き合いたい」と言います。
その言葉がゴングのように、しおりが徐々に好戦的になりつつも冷静に「引っかかっているところがある」と話し始め一息つくと、なんとユウマ、「もうピリオド打っちゃっていいんじゃないのかな」と急に言い放つのです。
「これ以上俺、どうしたらいいかわかんない」「ピリオド打ちたいと手紙に書いてあったし、そっちの方がお互い動きやすいんじゃない」とか言いますが、お土産と500円貯金→即ハッピー復縁! になるとでも思ったのでしょうか。一貫して「向き合いたい」と言っていたしおりに対して、自分から「向き合いたい」と言った数分後にコレです。全然向き合ってない。人間の気持ちはピッと押したら温まる電子レンジではない。そしてまた、脱力しながら立ち上がるしおりに「だいじょぶそ?」と謎マウントをキメるのでした。
さらにこのあと、スタジオと視聴者が戦慄する展開が訪れます。
番組では、事前にそれぞれの出演者に「どのぐらいX(元恋人)と復縁をしたいかどうか」をインタビューしています。その動画が収められたDVDを1枚だけ見ることができるのですが、しおりとの話の後、ユウマが誰かのDVDを見に行くのです。
このタイミングでしおりのDVDを? と、全員が思ったことでしょう。ですが、ユウマが見たのは、みゆうというメンバーのDVD。「X(しおり)とは終わったから次に行こうと思った」と、まっすぐな曇りなきまなこでスタッフに話し、自室の500円貯金箱までさっさと片付けるのでした。
筆者の偏見なのですが、「大切な人の生死以外で泣く男性は、想像が及ばない行動をしがち」。この説が拍車をかけてしまいました。
急に水を向けられたみゆうは、常に自らを俯瞰することやコントロールすることに長けた、自立した女性です。ユウマは、みゆうが自分に好意を寄せていると思い込み、あんなにしおりのことで泣いていたのにみゆうにお土産を買ってワクワクしたりツーショットになれずしょんぼりしたりしていたのです。
ある日、みゆうにお土産を渡すために夜の公園に呼び出したユウマは、「みゆうの気持ちはわかってたから」と笑顔。みゆうはなんとか硬い笑顔を作りつつ瞬きが止まらず、戸惑いがだだ漏れです。ですが大人なみゆう、このあとスタッフへ「そんなに? と思いました」と正直に吐露しつつ、きちんとユウマを視界に入れていることも示唆します。
そして後日、2人きりでラウンジで話していると、ユウマの軽薄な求愛にみゆうの「うち“都合のいい女説”出てるかも。キープ? この人言ってることぐちゃぐちゃ」と心の声がカットイン。そんなこともつゆ知らず、ユウマは「(自分の気持ち)わかるでしょ? バレてると思ったもん」とご機嫌です。
このときのみゆうの、唇を閉じ口角をめいっぱいあげて「ん???」と言ったときの薄ら顔。番組スタッフさん、LINEのスタンプにしてくれませんか? 「ナニイッテンダコイツ?」というシーンでの汎用性、抜群だと思います!
さて、しおりと「ピリオドを打った」ユウマは最終話でどんな展開を見せてくれるのでしょうか。これまで予測不可能な言動でスタジオと視聴者を翻弄していたユウマだけに、しおりでもみゆうでもない相手を、一緒に帰る相手として選ぶのか。それとも、さすがにみゆうがたしなめ、しおりに戻るのかーー、結局我々はユウマに惹きつけられてやまないのです。


