■小説やコミック作品では、ガンダムと戦わずに戦死するケースも…
富野由悠季氏の小説『機動戦士ガンダム』でのマ・クベは、テレビアニメ版と同じくテキサスコロニー周辺で地球連邦軍と交戦し、戦死している。しかしガンダムとは戦っておらず、ハヤト・コバヤシが乗るガンキャノンによって討たれた。
ちなみに劇中では、マ・クベとシャアの確執はテレビアニメ版以上に強調されていた。それもあって、窮地に陥ったマ・クベが救援要請を出すもシャアに無視されたのが命取りとなった。
安彦良和氏の描く漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(KADOKAWA)では、ソロモンの戦いより2か月近く前に決行された、地球連邦軍によるオデッサ攻略作戦の中でマ・クベは散っている。
総司令として地球連邦軍を迎え撃ったマ・クベは、南極条約で禁止されている戦術核兵器まで使用するが、これをアムロによって阻止されたことで敗北を悟る。
その後マ・クベは、部下たちが宇宙へ脱出する時間を稼ぐためにギャンに乗って奮戦。最後は愛機ごと黒海に入り、そのまま連邦の水上艦隊を道連れに自爆するという壮絶な死に様が描かれている。
北爪宏幸氏の描く漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』(KADOKAWA)は、映画『機動戦士ガンダムIII』の「その後」が描かれた作品だ。マ・クベはドズル・ザビの妻子である妻ゼナと娘ミネバを陥落寸前のア・バオア・クーから救出する。
その後マ・クベはギャンで出撃し、シャアとともにミネバたちの護衛を務めるが、連邦軍艦艇の主砲の直撃を受けて戦死した。
このように小説や漫画の中にはマ・クベがアムロのガンダムと戦うことなく、異なる戦場や場面でそれぞれの最期が描かれているのが印象的だった。
このほか、最近放送されたテレビアニメ作品『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』でもマ・クベは一年戦争で戦死しておらず、パラレルワールドながら終戦後も生存し、権力を握っていた様子が描かれていた。
スピンオフという都合上、マ・クベのような存在感はあるもののメイン級ではないキャラクターは、物語を収めるために設定変更を強いられやすいのかもしれない。
作品ごとに戦う相手が変わり、はたまた生死すらも異なっているマ・クベだが、複数の世界線が見られるのも楽しいものである。


