■まさに生き地獄!『幽☆遊☆白書』戸愚呂兄
最後に紹介するのは、冨樫義博氏による『幽☆遊☆白書』(集英社)に登場する戸愚呂兄だ。
戸愚呂兄弟は弟のインパクトが強いが、兄のほうも高い戦闘能力を誇り、何より不死身の妖怪である。その性格は恐ろしいほど凶悪で、弱いものいじめを好む点で弟とは正反対の存在だ。
戸愚呂兄は弟と行動をともにしていたが、あまりにも下劣な行動に愛想を尽かした弟によって、体をバラバラに破壊された。
そのまま死んだかに思われたが、しぶとく生き残っており、時間をかけて肉片から再生しつつ復活の時を待っていた。そんな時に仙水と出会い、自身を食らった巻原定男の体を逆に乗っ取って、再び暗躍を始める……。
この戸愚呂兄を打ち破ったのが、蔵馬である。蔵馬は植物を使った攻撃を得意としており、多彩な能力を持つ魔界の植物を扱う。
戸愚呂兄との対決の際、蔵馬はすぐに相手の能力と性格をすぐさま見抜き、「邪念樹」という植物を植え付けた。これは、捕らえた獲物に幻覚を見せながら、その生命力を吸い続ける恐ろしい植物である。
常人なら邪念樹に生命力を吸い尽くされて死んでしまうが、戸愚呂兄は不死身である。その結果、永遠に幻覚を見せられながら生命力を吸われ続けるという、まさに生き地獄を味わうことになった。
不死身であっても、物理的に束縛され幻覚を見せ続けることで無力化もできてしまう。これもまた見事な倒し方だと思ってしまった。
このように、不死身のキャラクターは、身動きを封じられて放置される結末を迎えることが多いように思える。その末路には、いくら悪役といえど同情を禁じ得ない。
死ぬことすらできず、過酷な状況下で永遠に存在し続けなければならない彼ら。むしろ、殺してほしいと望むのではないだろうか……。


