タイムリープを扱う作品の中には、「死に戻り」というジャンルがあるのをご存じだろうか。これは、タイムリーパーの死をきっかけに時間が巻き戻り、死ぬ前の記憶を持ったまま過去の時点からやり直す物語形式のことを指す。
しかし、いくら何度でも戻れるとはいえ、中には「さすがにひどすぎる」と言いたくなるような壮絶な死に方が描かれることも少なくない。そこでこの記事では「死に戻り」が存在するアニメ作品の中で、タイムリーパーが自ら選んだ「ひどい死に方」を3つ紹介する。
※本記事には各作品の内容を含みます
■苦しみに喘ぎながら…『サマータイムレンダ』
初めに紹介するのは、『サマータイムレンダ』(原作漫画:田中靖規氏)における服毒自殺である。
本作の主人公・網代慎平は、右目に宿った能力によって“死に戻り”を繰り返す。物語の舞台は「自分にそっくりな“影”を見た者は死ぬ」という不気味な言い伝えが残る慎平の故郷の離島だ。幼なじみの葬儀のため帰省した慎平だったが、その際、島民と瓜二つの“影”と呼ばれる存在に殺されてしまう。
仲間たちに状況を打ち明けた慎平は、彼らと共に死に戻りの謎や影の正体を探っていく。時に殺され、時に自ら死を選びながらループを繰り返す中で、ついに影にまつわる真相へとたどり着く。
アニメ12話にて、影の母であるハイネと対峙した慎平たち。しかし4本の腕を持った謎の影の、圧倒的な強さの前に敗北を喫する。仲間を人質にとられた上、慎平は両手の指をすべてを斬り落とされてしまう。
これまでも幾度となく自殺を経験してきた慎平だったが、指がなければ引き金を引くことすらできない。仲間たちも、慎平を殺せる状況になかった。4本腕の影はタイムリープを阻止し、慎平を生かしたまま捕えようと迫る。
絶体絶命の状況の中、慎平は急に吐血する。彼はいざという時のために隠し持っていた毒薬を飲んだが、その毒は決して楽に死ねるものではなかった。
身を震わせ、激しい苦痛に喘ぐ慎平。だがそんな苦痛の中でも慎平の心が折れることはなかった……。
それは残酷な死に方が多い本作の中でも、ことさら苦しい死に方だった。影の真相とともに、決して折れない慎平の姿が印象に残った視聴者も多いのではないだろうか。
■仲間の手による死…『Re:ゼロから始める異世界生活』
長月達平氏のライトノベル作品『Re:ゼロから始める異世界生活』では、異世界に転生した主人公のナツキ・スバルが“死に戻り”の能力を獲得する。
ある種、不死身とも言えるこの能力は、異世界転生作品において非常に強力なものだ。しかし彼を待ち受ける運命は、その能力が呪いに感じられるほど過酷なものだった。
スバルは謎の力によって、“死に戻り”の能力に関して他人に話すことができない。孤独と絶望の中、彼はさまざまな死を強いられることとなる。そして、アニメ1st seasonの第23話では、初めて“仲間の手による自殺”を経験する。
スバルたちは、残虐な行為を繰り返す「魔女教」のペテルギウス・ロマネコンティとの戦いに身を投じた。ペテルギウスは邪精霊という、肉体を持たない存在。彼に勝つためには、彼が憑依する配下たちを全滅させなくてはならない。
激闘の末、スバルたちはなんとか配下を全滅させることに成功する。だがその直後、スバルの体に異変が生じた。精霊との相性が良いスバルは、ペテルギウスにとって格好の憑依対象だったのだ。そしてスバルは体を乗っ取られ、肉体の自由を奪われてしまう。
わずかに意識を取り戻したスバルは、同行していた仲間のフェリックス・アーガイル(フェリス)とユリウス・ユークリウスに自分を殺すよう懇願する。しかし死に戻りの存在を知らない彼らは、当然戸惑いを見せる。
スバルは鬼気迫る形相で、自分を殺すよう説得を続ける。ペテルギウスを倒すためとはいえ、仲間であるスバルを殺さなければならない。フェリスは涙を流しながらスバルを攻撃し、最後はユリウスがとどめを刺した。
これまでもスバルが自ら死を選ぶことはあったが、望んで他人の手にかかるのは初めてのことだった。スバルはもちろん、フェリスとユリウスの心情を思うと、さらに胸が痛む死に方である。


