■防げるはずだった惨劇を悔いて…『ひぐらしのなく頃に』
アニメ『ひぐらしのなく頃に』シリーズは、同人サークル「07th Expansion」の同名ゲームを原作として製作された作品だ。
舞台である雛見沢村は、一見どこにでもありそうな田舎町である。しかし、実際は「雛見沢症候群」という風土病が蔓延しており、住民のほぼ全員が感染。雛見沢症候群が重症化すると理性が失われ、他者を殺めてしまうこともある。さらにこの村は、1983年に「雛見沢大災害」が起こり、住民が全員亡くなってしまうことが宿命づけられた土地であった。
一見すると救いのない物語に感じられるが、雛見沢村にはこの残酷な未来を変えようと必死に努力する1人の少女の姿があった。その名は、古手梨花。彼女はアニメ版のヒロインの1人であり、原作ゲームの「皆殺し編」及び「祭囃し編」では主人公を務めている。
梨花は雛見沢で信仰される「オヤシロさま」を唯一目視できる巫女であり、自身の死をトリガーとして時間を巻き戻す力を持つ。彼女は村の住民たちを救うべく、100年にも及ぶループの中で、奮闘を続けていた。
しかし、何度繰り返しても未来を変えることはできず、梨花は1983年にさまざまな方法で殺されてしまう。
「鬼騙し編」という名のループ世界でも、梨花は友人を救うことができなかった。そして、その真相が語られた、アニメ『ひぐらしのなく頃に 卒』第3話にて、梨花が自ら命を絶っていたことが判明する。
幾多のループを経て、梨花は友人たちを救う方法を知っているはずだった。しかし、別のループの記憶を持つ前原圭一が、竜宮レナを信用して家に招き入れたことで、想定と違う事態が起きてしまう。家に入ったレナは雛見沢症候群を発症しており、包丁で圭一を殺害してしまうのだ。
救えると思っていた友人を救うことができなかった梨花は、自身で命を絶つことを決める。その方法は、死に至るまで何度も自分の体に包丁を突き立て続けるというあまりにも残酷な方法だった。梨花のうめき声と共に繰り広げられる凄惨な描写に、唖然としてしまった視聴者も多いだろう。
大切な人を守るため、自殺すらいとわない「死に戻り」作品のタイムリーパーたち。彼らの壮絶な覚悟と苦悩は、読者に驚きを与え、物語に奥行きをもたらしている。
あなたが知る中で、自分が絶対に経験したくない「死に戻り」作品は何だろうか。


