『ドラゴンボール』「さすが師匠!」“亀仙人の強さ”にしびれる…実力を発揮した戦闘シーンの画像
『DRAGON BALL』#15 [DVD] ©バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 1984年から1995年にかけて連載された鳥山明さんの『ドラゴンボール』。シリーズの中で、“武道の達人”として長くファンに愛され続ける男が亀仙人である。

 普段はスケベでだらしない老人だが、その正体はかつて世界にその名を轟かせた伝説の武道家。主人公の孫悟空やクリリンの師匠であり、彼が育てた弟子たちは後に地球を何度も救う存在となった。

 だが、亀仙人自身もまた、ただの「過去の英雄」では終わらない。年老いてもなお戦いの最前線に立ち、己の信念と技を貫き通した。今回は、そんな亀仙人の“かっこよさ”が最も輝いた名シーンを振り返っていこう。

 

※本記事には作品の内容を含みます 

■第21回天下一武道会 ジャッキー・チュン vs 孫悟空

 まずは、『ドラゴンボール』初期屈指の名試合である、第21回天下一武道会での悟空との戦いを紹介していこう。

 弟子である悟空の急成長を目の当たりにした亀仙人は、自ら「ジャッキー・チュン」と名乗り、正体を隠して大会に出場する。目的はただひとつ。弟子に“慢心”を覚えさせないためだった。

 悟空の俊敏な動きとパワーに対し、亀仙人は経験と知略で応戦する。残像拳、酔拳、よいこ眠眠拳、萬國驚天掌……いずれも円熟した技が光り、師弟の対決は一進一退の攻防となった。

 特に序盤の、お互いにかめはめ波を撃ち合い、気功波がぶつかり合うあの瞬間はまさに圧巻。最終的には悟空に跳ね返されてしまったものの、亀仙人が老いてなお“現役”の実力を誇示した名場面だ。

 結果としては、激しい戦いの末に亀仙人が僅差で勝利。試合を終えた彼は、ジャッキー・チュンの変装を解き亀仙人として弟子たちの前に現れると、「世の中上には上がいるもんじゃ!」「ほんとうの修業はこれからはじまるんじゃ」と激励する。その教えこそが、後の悟空やクリリンを作り上げた原点といえよう。

■「ピッコロ大魔王編」命を懸けた魔封波

 長い封印から目覚め、世界を恐怖で覆ったピッコロ大魔王。その圧倒的な力を前に戦士たちが次々と倒れていく中、立ち上がったのが亀仙人だった。

 亀仙人はかつて師である武泰斗とともに、ピッコロ大魔王と戦った過去を持つ。そのとき武泰斗が使ったのが秘術「魔封波」、己の命と引き換えに相手を封じ込める技だ。ピッコロ大魔王の復活を前にした彼は、「世界の平和」を守るため、そして師の遺志を継ぐため、今度は自分が「魔封波」を放つ決意をする。

 「師匠の名をおしえてやろうか…」「武泰斗さまじゃ!」と不敵な笑みでピッコロ大魔王に言い放つ場面は、堂々とした立ち居振る舞いや表情がシビれるほどにかっこいい。

 限界を超えて放たれた魔封波には、命を懸けた覚悟が宿っていた。結果は失敗に終わってしまったものの、恐怖に屈せず立ち向かうその姿からは、老いてなお“戦士”であり続ける男の誇りが感じられた。

 この場面で読者が心を打たれるのは、ただスゴい技を使ったからではない。命を落とすとわかっていても、次の世代のために恐れず前に出る――その精神こそ、亀仙人という人間の真の強さといえるのではないだろうか。

  1. 1
  2. 2
  3. 3