10月から順次放送開始となった秋アニメ。海外作品や大型タイトルの続編などさまざまなジャンルが放送されているが、前半戦である第4話~第5話終了時点で、早くも視聴者の関心を集めた作品が多く存在する。
本稿では、現在放送中の秋アニメの中でも「序盤のインパクトが強かった作品」を3作紹介。世界観やキャラクター設定など、SNSを中心に話題になったポイントや、最新話で判明した新たな注目展開などを解説していこう。
放送から1か月が経ち、物語が動き始めた今こそ、見逃していた作品をチェックする絶好のタイミング。「秋アニメに乗り遅れた」という人も、ぜひ参考にしてもらいたい。
※本記事は各作品の最新話の内容を含みます。
■JKショッカーVS電波人間タックル!?『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』
まず紹介するのは、異色のヒーローアニメ『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』。原作者・柴田ヨクサル氏自身も「仮面ライダーになりたかった子供が、 そのまま大人になったシンプルに熱い話です!」と語るように、仮面ライダーに憧れた40歳の男・東島丹三郎を中心に、大人たちの“本気のライダーごっこ”が展開されている。
「いつか本物の仮面ライダーになる」という夢を本気で追い、修行に励んでいた東島丹三郎。ある日、仮面ライダーシリーズの悪役・ショッカー戦闘員に扮した強盗集団が、縁日を荒らす現場を目撃する。
兼ねてから「ショッカーに会いたい」と強く願っていた東島は、お店に売られている仮面ライダーのお面をつけ「いくぞショッカー!!」と力強く宣言。すると東島の内なる力が覚醒し、初代仮面ライダーのテーマソング『レッツゴー!!ライダーキック』をほうふつさせる爽快な挿入歌と共に、バッタバッタと偽ショッカーたちをなぎ倒していく。
そして第2話では、仮面ライダーシリーズ初の変身ヒロイン「電波人間タックル」に憧れる女性教師・岡田ユリコが登場。コンビニに現れた偽ショッカーたちを前に、「電波人間!タック!」と登場し、必殺技の電波投げを駆使してこれまたショッカーたちを一網打尽にする。なぜか「タックル」と言わない本家さながらの口上も相まって、SNSでは「原作再現すぎる!」と、歓喜の声があがる。
劇画チックで差し込まれるギャグもくどさがなく、東島丹三郎(声優:小西克幸)の声は初代仮面ライダーの本郷猛(藤岡弘、)にそっくりだったりと、当時の特撮ファンから未視聴勢までが楽しめる本作だが、大きな動きがあったのは直近の3~4話。なんと、味方だと思っていた女子高生が突然「イィーッ!」と叫び、ショッカー戦闘員に変身してしまうのだ。
さらに、ショッカー怪人に家族を殺されたという仲間のエピソードまで登場し、一気にシリアスな展開へ……。ギャグテイストの熱いアニメかと思いきや、きっちり物語としてのドラマも光る本作に、視聴者からも「思ってたよりずっとアツい」「一気に不穏じゃねえかよ……」という声が上がっている。
次回、第5話では、“JKショッカー戦闘員”との戦闘や、オープニング映像にも登場した“怪人”と思われる人物が現れることが予想される。ただの“ごっこ”ではない、ヒーローを諦めなかった者たちが繰り広げる真剣勝負に、今後も注目していきたい。
■1話でいきなり主人公を刺殺!?サンタクロースが大暴れ!『SANDA』
次に紹介するのは、『BEASTARS』でも知られる板垣巴留さん原作の『SANDA』。いびつな世界で展開される、サンタクロース・ヒーローアクションだ。
舞台となるのは2080年、超少子化で子どもが国に過剰保護される近未来の日本。大国愛護学園に通う中学生の三田一重はある日、クラスメイトの冬村四織に包丁を突きつけられ、「今日中にあんたを絶対に殺すから」と告げられるシーンからアニメが始まる。そして宣言通り、心臓を一突きにされる三田だったが、実は冬村の目的は、行方不明となった友人・小野一会を探すために、三田の“サンタクロースとしての力”を引き出すことだった……。
三田が冬村に刺されると、少年だった身体はみるみるうちに、白髭の生えたムキムキのおじいさんに変貌。主人公の三田は実は“サンタクロースの末裔”であり、特定の条件を満たすことでサンタに変身できる人間だったのだ。
序盤からの怒涛の展開にSNSでは「冒頭から過激すぎない?」「1話から包丁で襲われるアニメは名作」「サンタクロースって、本当にサンタクロースじゃねえか!」という声があがる。
原作の画風そのままの、荒々しいタッチとキャラクターデザインも魅力の本作だが、三田がサンタクロースに変身した際の能力や、性格の変化も非常に興味深い。
例えば、三田がサンタに変身した日以来、自分と同い年の友人が“子ども”に見えて妙にかわいく思えたり、年頃の男子であればドキッとしてしまうような女子の振る舞いにも、何一つ動揺を見せなくなる。
また、“悪い子にはプレゼントをあげない”というサンタの言い伝えになぞらえ、「嘘をついた人」が近くにいると、その影響で物が落ちるという能力も判明。子どもの憧れであるサンタクロースに心まで変化してしまったともとれる描写に、今後も新たな能力の発現が期待される。
また、大人が子どもに敬意を払い、トイレは男女別ではなく「大人/子ども」という分け方をされているなど、作中の世界観の謎も回を追って深まるばかり……。そのほか、冬村たちの前から姿を消す“小野一会”という少女の正体や、サンタクロースを排除しようと試みる謎の組織の思惑など、今後も目が離せない展開が予想される。
独占配信ゆえに、まだ大きな話題にはなっていない感があるが、間違いなく今期アニメの中でも要注目作品の一つと言えるだろう。


