小栗旬、山田孝之、綾野剛、松山ケンイチ、鈴木亮平も…漫画実写化作品で“再現難すぎキャラ”を実現した実力派俳優の「脅威の変身」の画像
鈴木亮平(写真/ふたまん+編集部)

 漫画の実写化は、いつの時代も賛否両論を巻き起こす。だが、その中には「これは実写化不可能だろう」とまで言われたキャラクターを、圧倒的な説得力をもって現実にしてしまう俳優たちがいる。

 2026年公開予定の映画『SAKAMOTO DAYS』も、その系譜に連なる一作となるかもしれない。家族を愛する温厚なぽっちゃり店主でありながら、かつては伝説の殺し屋だった主人公・坂本太郎。この漫画ならではの特異なキャラを、主演・目黒蓮さんがどのように体現するのか、公開前から早くも大きな注目が集まっている。

 今回は、そんな再現が難しすぎるキャラを見事に実現させた俳優たちを紹介していこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■本気のなりきりで独特な世界観を現実に『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』小栗旬&山田孝之

 2012年公開の映画『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』は、中村光さんの同名漫画を実写化した異色コメディだ。強烈なキャラ揃いの河川敷住人とエリート青年・リクこと市ノ宮行の交流を描く、ナンセンスでありながらも愛らしい世界観が大きな話題を呼んだ。

 小栗旬さんが演じたのは、河川敷を仕切っている河童の“村長”。小栗さん自身が原作ファンであり、「『荒川アンダー ザ ブリッジ』やりたい」と自らスクウェア・エニックスに電話をかけて直談判し、出演が決まったという逸話がある。

 全身緑色のウェットスーツに頭に皿を乗せた奇抜な姿ながら、落ち着いた声と堂々とした佇まいで、ビジュアルの異様さに不思議な説得力を与えた。

 一方、山田孝之さんは、星形の被り物をした元ロッカー“星”を熱演。顔を黄色に塗り、スタッズ付きの革ジャンを身にまとった姿で登場した山田さんは、その渋い声と繊細な間の取り方で、コミカルさの中に危うさや哀愁を巧みに表現した。小栗さんの誘いで出演が決まったという裏話も、2人の信頼関係を物語っている。

 この2人の実力派俳優による全力の芝居があったからこそ、“実写化不可能”とまで言われた原作が、笑いと人間味を両立させた見応えのある作品となった。

■繊細な役作りで妖怪の存在感に挑んだ『幽☆遊☆白書』綾野剛

 2023年に配信されたNetflixシリーズ『幽☆遊☆白書』は、冨樫義博さんの伝説的バトル漫画を実写化した話題作だ。なかでも、主人公・浦飯幽助の前に立ちはだかる宿敵・戸愚呂兄弟は、実写化において最も再現が難しい存在とされていた。

 特に戸愚呂弟は、相手の力量に応じて筋肉量を自在に変化させる超人であり、その“異形の迫力”をどのように表現するかが、最大のハードルだった。

 この戸愚呂弟を演じたのが、綾野剛さんである。彼は、滝藤賢一さん演じる戸愚呂兄を肩に乗せ、CGと肉体演技を融合させることで、圧倒的な存在感を放った。

 役作りに際して「なぜ(戸愚呂兄は)サングラスをかけているのか」という点にこだわり、“眼だけは妖怪になれなかったのではないか”と解釈。その“わずかな人間性”を軸に、戸愚呂弟という難役にアプローチしたという。

 作中ではセリフを最小限に抑え、視線や呼吸の微細な変化で感情を表現。最終決戦、圧倒的なバトルの中で北村匠海さん演じる幽助に向ける憂いを帯びた眼差しは、化け物でありながらどこか哀しみを感じさせた。

 外見のインパクトを超え、存在そのものに説得力を宿した綾野さんの戸愚呂弟は、まさに妖怪に変わった人間を表現した名演と言えるだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3