昭和キッズが涙の努力…ファミコン名作「めっちゃ欲しいけど入手困難すぎる」激レアアイテムの思い出 オニオン装備にさとりのしょも…の画像
ファミコン用ソフト『ファイナルファンタジーIII』(C)1990 SQUARE(写真/ふたまん+編集部)

 RPGではザコ敵との戦いで経験値とお金を稼ぎ、新たなアイテムを入手することで次のステップに進んでいくのが基本スタイル。武器や防具など強力なアイテムを手に入れるたび、その性質がどのようなものなのかいち早く試したくなるもの。

 だが、まだ家庭用ゲーム機としてファミコンが主力だった当時、「そのアイテム、本当に手に入るの?」というような噂レベルでしか知らないアイテムもまれに存在した。

 「友だちの友だちが手に入れたらしい」という噂を聞いたり、またゲーム雑誌や攻略本にその存在が記載されていたり……ただ入手するにはあまりにもハードルが高く、実際に見たことがないというものも少なくない。

 今回はファミコン時代に多くのプレイヤーを熱中させ、そして苦しめた、入手困難なレアアイテムの中から印象深いものを3つ振り返ってみたい。

■ドロップ自体真っ赤な嘘?『ドラクエ3』のさとりのしょ

 まずは『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(1988年、エニックス)から「さとりのしょ」を振り返りたい。

 本作は、戦士や魔法使いとして育てたキャラクターを、僧侶や武闘家といった違う職業に転職させることができるシステムが売りであった。

 その中で、僧侶と魔法使いの両方の呪文を使える、とびきり強力な職業として用意されていたのが「賢者」だ。

 だが、賢者になるには「あそびにん」の職業をレベル20以上まで育てるか、もしくはいずれかの職業をレベル20以上にまで育てたうえでアイテム「さとりのしょ」を使う必要がある。

 このさとりのしょが、通常は宝箱から1つしか手に入らない超貴重なアイテムなのだ。2つ以上を手に入れるためには、モンスターからのドロップを期待するしかない。

 そのさとりのしょを落とすモンスターとして、当時の子どもたちにも知られていたのが、「アカイライ」だ。アカイライは出現確率が低いわけではなく、決して強いモンスターでもない。倒しまくれば手に入りそうだが、いくら倒しても落とさない。

 ちなみに『公式ガイドブック』には、「まず持っていない」という「×」マークが記されており、本当に落とすのか疑わしくなってくるレベルで落とさない。のちにガイドブック『モンスター大図鑑』でそのドロップ率が2048分の1という低確率であることが明かされているが、当時やみくもに戦い続け「さとりのしょ」を獲得した子どもはどのぐらいいただろうか。筆者は結局、手に入れることはできなかった。

 当時勇者1人と賢者3人という夢のようなパーティを組むことができたプレイヤーは少なかったことだろう。

■すべて集めるのは至難の業『FF3』のオニオン装備

 続いてもファミコン時代のRPGの代表作のひとつである『ファイナルファンタジーIII』(1990年、スクウェア)から、オニオン装備を紹介したい。

 オニオン装備とは、オニオンソードなどオニオンと名のつく5つの装備のことである。ジョブのひとつである「たまねぎ剣士」の専用装備で、作中最強の攻撃力・守備力を誇る。

 これらはすべてモンスターからのドロップ品であり、しかもイエロードラゴン、グリーンドラゴン、レッドドラゴンといういかにも強そうなドラゴン3種類が低確率で落とすだけなのだ。

 これらのモンスターはラストダンジョンであるクリスタルタワーの高層階にしか出現せず、出現確率も高くない。しかもかなりの強敵で、倒すだけでも一苦労である。

 クリスタルタワー自体が非常に長い高難易度ダンジョンとして有名であり、途中にセーブポイントもない。これらのドラゴンが出現するポイントまで進み、目当てのアイテムを手に入れたらダンジョンを出てセーブしなければならないのだ。

 そして、次のオニオン装備を手に入れるために再びクリスタルタワーの高層階まで進むということを繰り返さなくてはならず、文字で書いているだけでも、その苦行ぶりに震えるほどだ。

 だが、「最強装備」という甘美な響きはコレクター意欲を駆り立てるには十分であり、当時多くの子どもたちがこの苦行を繰り返し、オニオン装備を手に入れていったことだろう。

 思えば、レアな最強装備を手に入れるための苦行というRPGのお約束はここからはじまったのかもしれない。

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