■悟空を覚醒させるためには必須⁉ 主要キャラ最多の死

 そしてクリリンの不遇さを象徴するのが、主要キャラの中でも最多となる死亡回数だ。原作コミックスにおいて、魔人ブウによる地球消滅を除くと、クリリンは合計3回も命を落としている

 1回目の死亡シーンは、悟空VS天津飯の決勝戦が繰り広げられた、天下一武道会の終了後だ。悟空の忘れ物を取りに戻ったクリリンは、ピッコロ大魔王の手下・タンバリンによって殺されてしまう。この悲劇をきっかけに悟空はさらなる修行を積み、ピッコロ大魔王を倒すほどの成長を遂げる。

 そして、2回目の死は『ドラゴンボール』の中でも強烈なインパクトを残した、フリーザによって空中で爆破されるシーンだ。目の前で親友を失くした悟空は怒りに震え、伝説の戦士・超サイヤ人へと覚醒するのであった。そして3回目は、魔人ブウによってチョコレートに変えられ、食べられてしまっている。

 こう振り返ると、クリリンの死は悟空を成長させるためのトリガーであり、ストーリーを盛り上げるには欠かせない死だったと言える。しかし、ドラゴンボールで生き返るとはいえ、作中で何度も殺されてしまうのは、やはりちょっと不憫なキャラだと言えるだろう。

 

 クリリンはストーリー全体的に女性運には恵まれず、18号をセルから助けた後も「手でもにぎってほしいのか? チビのオッサン」など、言われ放題であった。しかしその後、純粋な想いが通じ、無事に18号と結婚。マーロンという可愛い娘にも恵まれた。数々の紆余曲折を経て幸せな生活を手にしたクリリンに、ホッとした読者も多かっただろう。

 クリリンはたび重なる試練に屈することなく、最後に最大の幸せを掴んだ『ドラゴンボール』におけるシンデレラボーイと言えるかもしれない。

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