10月から続々スタートとなった2025年秋アニメ。悪役令嬢モノ、SFミステリー、バトルアニメなど多くのジャンルが並ぶなか、「食欲の秋」にこそ楽しめそうなのが、俗にいう“飯テロアニメ”です。
画面越しに立ちのぼる湯気、じゅわっと音を立てる焼き目、そしてキャラクターたちの幸せそうな表情……。なぜだか無性にお腹が空いてくる、そんな“飯テロ”作品が今期も放送されています。
本記事では、2025年秋アニメの中から、視覚、聴覚、嗅覚まで刺激してくるような珠玉の3作品を厳選。異世界モノから日常モノまで、まったく異なる世界観で描かれながら、「食」を通じて心を満たしてくれる“美味しいアニメ”たちをご紹介します。
■料理が心を解きほぐす…『かくりよの宿飯 弐』
一つ目に紹介するのは、『かくりよの宿飯 弐』。原作は友麻碧氏によるライトノベルシリーズで、シリーズ累計260万部を突破する人気作です。2018年放送の第1期から実に7年越しとなる待望の続編が、2025年秋に『かくりよの宿飯 弐(に)』として放送を開始しました。
主人公の女子大生・葵は、祖父が遺した借金のカタとして「隠世(かくりよ)」の老舗宿「天神屋」に攫われ、自慢の料理で借金を返すために食事処「夕がお」を開きます。そして、真心込めた手料理であやかしたちの空腹と心を満たしていきつつ、天神屋の宿泊客や従業員である妖(あやかし)たちとの絆を深めていきます。
今回の第2期では、葵の居場所である天神屋に、かつてない危機が迫るストーリーが展開され、人と妖を料理でつなぐ温かな世界観はそのままに、7年ぶりの新作でもさらなる感動が期待できそうです。
そして、本作でメインとなる描写は、葵が作る手料理の数々! たとえば1期の1話で登場したふわットロの和風オムライスは、ケチャップの代わりにコショウと醤油で炒めたライスに卵がふんわり覆いかぶさり、仕上げに刻みネギと大根おろしをのせた一品でした。
葵が、天神屋の若旦那・銀次に優しく差し出すと、銀次も思わず笑みを浮かべて一口パクリ。口いっぱいに広がるだしの風味に、「おいしい……本当においしいです!」と照れくさそうに呟く姿にはこちらの心までじんわり温かくなります。
そのほか、もつ鍋やもんじゃ焼きなど、豪華な料理ではなくとも、真心を込めた家庭的な味が異世界の妖たちの心を解きほぐし、「料理を通して心がつながっていく」瞬間が丁寧に描かれた本作。夜中に視聴するとお腹が空くのは困りものですが、見終わった後はなんとも優しい気持ちで満たされるほど、葵の料理とおもてなしに癒される作品です。
■獣とスライムのハーレム作品!?『とんでもスキルで異世界放浪メシ2』
お次はコミカルな異世界グルメ冒険譚『とんでもスキルで異世界放浪メシ2』。原作は江口連氏によるウェブ発のライトノベルで、2023年に第1期アニメが放送されて人気を博し、2025年秋から第2期が放送されています。『呪術廻戦』『チェンソーマン』など、ダークファンタジーに定評のあるMAPPAが制作している点も注目したいポイントです。
物語の主人公は、ごく平凡な会社員・向田剛志(ムコーダ)。異世界に勇者召喚されるものの戦闘能力は持たず、代わりに手にしたのは、現代日本の食材を取り寄せられる「ネットスーパー」というスキルでした。
物語序盤、ムコーダが人間たちに魔物の肉の生姜焼きを振る舞っていたところ、伝説の魔獣フェンリル(愛称フェル)がその匂いにつられて現れます。一触即発の緊張感が漂いますが、ムコーダの料理を食べたフェルはその美味しさに魅せられ、ムコーダと従魔契約を結ぶことに。その後もスライムのスイ、甘党の女神・ニンリル様など周りのキャラを巻き込みつつ、「今日のご飯何にしよう?」と異世界を放浪するグルメ冒険が繰り広げられます。
ムコーダが旅先で振る舞う料理の数々は、ロックバードやレッドボアなど聞き慣れない異世界の素材たち。しかし、焼いたときの照りやジューシーさなど、細かな工程が実に丁寧に描かれ、分厚いレッドボア(大きなイノシシ)の肉をフライパンで焼くシーンでは、「ジュゥ~ッ」という音と共に香ばしい肉汁が画面越しに滴り落ちるような描写で視聴者の食欲をそそります。
特製ソースをかけて丼ご飯にのせれば、食いしん坊のフェルは鼻をひくひくさせながら尻尾をブンブン! 目を輝かせて一気にかぶりつく様子に、こちらも思わず生唾を飲み込んでしまうほど。「こんがりお肉×甘辛ダレ」の破壊力は、現代も異世界も変わらないようです。
キャベツを切る音、餡を皮で包むときの手の動き、網のうえで焼かれるカニのふっくら感など、料理の細かな質感もこだわって作られており、破壊力抜群の飯テロぶりにお腹が減ること間違いなし! あまりにも可愛すぎる、スライムのスイちゃんの捕食シーンにも注目してほしいところです。


