竹内涼真のモラハラ男が「ウザかわいい」…ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の心地いい演技と物語の画像
竹内涼真  写真/ふたまん+編集部

 10月7日22時よりスタートした、竹内涼真さんと夏帆さんによるW主演ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)。

 谷口菜津子さんの同名漫画を実写化した本作は、竹内さん演じる海老原勝男が、夏帆さん演じる交際6年目の彼女・山岸鮎美にプロポーズを断られるところから始まるラブコメディ。破局の原因は、勝男の凝り固まったジェンダー観によるものであり、愛する恋人を失ったことを機に自身を見直し始めていく勝男の成長と、これまでの自分とは違う生き方を模索する鮎美の姿が描かれる。

 第1話から勝男の無神経な発言が連発したことで、視聴者からは驚きの声が続出。SNSには、「あり得ない!」「これはリアル」といった声が多数寄せられた。

 その一方で第2話になってくると、そのモラハラぶりに慣れた視聴者も少なくないのか、明るい笑顔で亭主関白な態度を炸裂させる竹内さんに「イライラするけど憎めない」「竹内さんハマってる」「勝男がかわいい」といった声も目立った。

 今回は第3話の放送を前に、これまでの物語を振り返っていく。

※本記事は作品の内容を含みます。

■時代錯誤!? 愛すべき亭主関白男・勝男のジェンダー観

 古い価値観に縛られた男と相手に合わせすぎる女。本作は、そんな二人が別れをきっかけにそれぞれの価値観を見つめ直し、人として成長していく姿を描くと同時に、現代の視聴者にジェンダー観を問いかける作品だ。

 勝男が信じてきた価値観は、“男は男らしく外で働き、強くあるべき。女は料理を作って男を待つことが幸せ”という、とにかく古風なものである。令和の今では批判されかねない考え方だが、鮎美もまた“好きな人の理想の彼女でいることが幸せ”と信じていたため、二人は一見すると理想的なカップルのように見えた。

 だが、同棲生活の中で勝男は、「おかずが茶色すぎる」「冷凍食品を入れた弁当は手作り弁当じゃない」「顆粒だしは手抜き」といった自身の価値観を押し付ける発言を繰り返しており、それが鮎美の心を少しずつ蝕んでいった。

 その結果、夜景のレストランで意気揚々とプロポーズした勝男は、「無理」と断られてしまう。振られたことも、勝男からすると理由がわからない。

 ゆえにその後も合コンで「(好物の)筑前煮が美味しく作れるような子がいい」「ルーで作るカレーはダメ」「料理の取り分けは女担当」といった言動をし、会社の料理好きな後輩・白崎ルイ(前原瑞樹さん)には弁当の肉じゃがを見て「めんつゆで作るのは邪道」などと言って怒らせてしまう。

 とはいえ、勝男は無神経ではあるものの、鮎美に対して感謝の言葉を忘れない優しさもあり、他者の意見を受け入れる柔軟さも持つ。視聴者からすれば即嫌いになってしまいそうなモラハラ男であるはずが、妙にかわいらしく見えてしまうのは、このためだ。

 鮎美が出ていった後、白崎と南川あみな(杏花さん)に「自分で作ってみれば彼女の気持ちがわかるのでは?」と促され、筑前煮作りに挑戦。失敗を重ねる中で初めて、鮎美の大変さを知るのだ。さらに白崎からめんつゆが何でできてるか知ってるかと問われれば、ちゃんと調べて無知を反省する素直さも見せる。

 固定概念に縛られていた勝男が自分を見返す姿は好感が持てる。そんなところが「憎めない」と言われるポイントであり、竹内さんはこのギャップを見事に表現している。

 一方でこうした勝男の一連の言動には、「時代錯誤」「これはうざいわ」といった反応も多く寄せられ、作中の“筑前煮”がXでトレンド入りするほどの話題に。家事をこなす側からすれば、やってもらっておいて注文ばかりつける男には、思わずツッコミを入れたくなるというもの。

 にもかかわらず、嫌なやつに見えないのは竹内さんの演技力あってこそ、だろう。爽やかな笑顔で余計な一言を連発する姿はどこか面白さもあり、後輩にイライラされている場面でも、合コンで引かれている場面でも、まったくピンときていないというその無自覚さの表現が絶妙だ。

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