役柄のかっこよさが増幅…「声優・森川智之」が演じる“超イケメンキャラ”の魅惑 野原ひろしから『鬼滅の刃』産屋敷まで…の画像
アニメ『野原ひろし 昼メシの流儀』  (C)臼井儀人・塚原洋一/「野原ひろし 昼メシの流儀」製作委員会

 人気漫画『クレヨンしんちゃん』でおなじみ、しんのすけの父・野原ひろし。彼が、小遣いをやりくりしながら美味しい昼飯を捜し歩く姿を描いた塚原洋一氏のスピンオフ漫画『野原ひろし 昼メシの流儀』がアニメ化され、10月3日より放送スタートした。登場人物のコミカルなやりとりに加えて実写映像で差し込まれる料理が話題を呼び、各配信サイトでランキング上位を席巻している。

 ひろしを演じるのは、アニメ、映画、ゲームと様々な作品で美声を響かせてきた森川智之さんだ。甘い声の主人公からダーティな敵キャラの声まで自在に操り、どんな役柄でも鮮やかに演じ分ける技量はまさに圧巻。1987年のデビューから現在に至るまで、多くの人々を魅了し続けている。

 今回は、そんな森川さんがこれまでに演じてきた個性豊かなキャラクターを振り返ってみたい。

■ゲームでも存在感は圧倒的『ファイナルファンタジーVII』セフィロス

 まずはゲーム作品の中から、『ファイナルファンタジーVII』(スクウェア・エニックス)に登場したセフィロスを紹介したい。セフィロスは、緑色の瞳に銀色の長髪という端正な顔立ちに日本刀を携え、神秘的でどこか妖艶な雰囲気を漂わせる『FF』シリーズ屈指の人気ボスキャラである。

 生まれながらに強靭な力を持ち、英雄として称えられた彼は、主人公クラウドが憧れるほどのカリスマ性を誇っていた。だが、神羅カンパニーが古代種の復活を目論み実施した「ジェノバ・プロジェクト」によって胎児期のうちにジェノバ細胞を移植されていたという出生の秘密を知ると、次第に精神が追い詰められ堕ちていく。

 圧倒的なビジュアル、英雄からの転落、強さと信念を感じさせる言動、詩的なセリフの数々、そして印象的なBGM……。これらの要素が重なり、彼は今なおプレイヤーを惹きつけてやまない存在となっている。

 森川さんは、そんなセフィロスという男の悲しい人生を声だけで演じ分け、ミステリアスな魅力を見事に体現した。ソルジャーの英雄として君臨していた頃は、皆を見守りながら優しく穏やかな声で演じ、出生の秘密を知ってからは深く沈んだ闇のような声へと変化。その演じ分けの上手さこそが「セフィロスは森川さんしかいない」とファンに言わしめるポイントだろう。

■世界中の視聴者を癒やした1/fゆらぎ『鬼滅の刃』産屋敷耀哉

 続いてはアニメ作品から、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が興行収入ランキングでトップを快走中の『鬼滅の刃』を取り上げたい。本作で森川さんが演じているのは、産屋敷家79代目当主、お館様こと産屋敷耀哉だ。

 お館様は隊士を「私の子どもたち」と呼び、誰に対しても平等に寄り添いながら深い信頼と愛情を注ぐ。その慈愛に満ちた姿に、隊士は心から忠誠を誓うのだ。さらにお館様が愛される理由の一つに、その声が持つ癒しの力がある。というのも、お館様の声には「1/fゆらぎ」があることが明かされているのだ。

  これは規則性と不規則性が調和した状態のことで、人が心地よさを覚えるリズムのひとつだ。雨音や波音、鳥のさえずり、炎の揺らめき、人の脈拍などにも含まれており、まれにお館様のように声に宿す人もいるという。実際、初めてその声を聞いた炭治郎は、その安心感と高揚感を「頭がふわふわする」と表現していた。

 驚くべきは、森川さん自身も「1/fゆらぎボイス」の持ち主だということ。ラジオ番組『鬼滅ラヂオ』の出演の際、森川さんはお館様を演じるにあたってプレッシャーを感じていたと語っているが、柔らかな声で相手の心に寄り添うその声は確かに心地良く、「おはよう」のたった一言にさえ包み込むような温もりが感じられる。

 人柄に重なるような森川さんの深みと落ち着きを纏うその声を聞き、癒やされたという視聴者も多いのではないだろうか。

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