『鋼の錬金術師』旧アニメの「ダークすぎたオリジナル展開」 ロゼの悲惨な末路に、ホムンクルスになったトリシャの最期も…の画像
DVD『鋼の錬金術師 vol.7』(C)荒川弘/スクウェアエニックス・毎日放送・アニプレックス・ボンズ・電通2003

 2026年で連載開始25周年を迎えた荒川弘氏による『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)。本作は二度アニメ化されており、旧アニメは原作の連載開始から間もない2003年に放送。新アニメと呼ばれる『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』は原作の完結に合わせて2009年から放送された。

 旧アニメは、連載中の原作に物語が追いついてしまうという事情から、設定を大幅に変更してアニメ独自のストーリーを展開。その結果、錬金術の仕組みそのものが異なり、エンディングもまったくの別物になった。

 また旧アニメはストーリーの改変によって、登場キャラが原作と異なる悲惨な過去を背負ったり、過酷な結末を迎えたりすることでも知られている。今回は、そんな旧アニメのダークな展開の中から、特に衝撃的だったものを紹介していこう。

 

※本記事には作品の内容を含みます。 

■あまりにも悲惨すぎたロゼの末路

 まず紹介したいのが「ロゼ」というキャラクターについて。彼女は原作ではそれほど登場シーンが多いキャラではなかったが、旧アニメではキーパーソンになっている。

 ロゼは亡くした恋人をよみがえらせたい一心で「レト教」の熱心な信者となり、教祖であるコーネロに心酔していた。のちに教えがインチキだと知って絶望するも、主人公のエドワード・エルリック(エド)に諭されて立ち直る。その後のリオールの暴動から中央軍の介入までの流れは原作と同じだが、その後ロゼの人生が大きく変わる出来事が描かれた。

 ロゼは軍に連行された後に妊娠、出産をしている。直接的な描写はないが、あまりのショックに彼女は声を失ってしまったので、連行後に彼女を襲った悲劇は想像に難くない……。

 しかもそれだけでは終わらない。ロゼは黒幕であるダンテに狙われ、地下都市で隔離された生活を送りながら洗脳されていた。ダンテは肉体の入れ替えのためにロゼを利用しようとしたが、それを阻んだのが恩人であるエドの死である。そもそも、主人公のエドがエンヴィーに殺されるという展開自体も旧アニメのオリジナル展開で、かなり衝撃的だった。

 目の前でエドが死んだことにより、ロゼは正気に戻って声を取り戻す。それによって無事に生還し、最終的にはヒロインのウィンリィ・ロックベルの家に身を寄せて、子どもと静かに暮らす結末を迎えた。

 旧アニメでロゼがたどった運命はあまりにも悲惨で、そのショッキングな内容は放送終了から長い年月が経った今も語り継がれているほどだ。

■よりヘビーになったマスタングの過去

 次は、アメストリス国軍大佐であり「焔の錬金術師」と呼ばれるロイ・マスタングの過去についても見ていこう。

 マスタングの過去の闇については原作でも語られている。彼は「イシュヴァール殲滅戦」で、国家命令により多くの罪なき人々をその手で殺した。旧アニメでもそれは同様だが、さらに恐ろしい事実が追加されている。

 なんとマスタングは、ウィンリィの両親であるロックベル夫妻を銃殺した張本人として描かれるのだ。軍から強制されて仕方がなかったとはいえ、あまりにも衝撃的な展開である。

 さらに、それがきっかけで人体錬成に手を染めそうになったり、自殺未遂をしたりするほど壊れてしまった。拳銃で人を撃つことにも抵抗を感じ、威嚇射撃しかできなくなってしまう。

 原作以上に追い詰められ、戦争の悲惨さがよりいっそう生々しく描かれたかたちである。綺麗事では済まされない世界、復讐の連鎖、個人の葛藤といったものが、マスタングを通して感じられた。

 こうした設定の違いからか、エドたちとの関係が原作と比べて険悪なものだったのも印象的である。

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