『名探偵コナン』の代表的なアイテムと言えば、腕時計型麻酔銃と蝶ネクタイ型変声機、そしてターボエンジン付きスケートボードにサッカーボールだろう。特にサッカーボールは、あらゆる犯人をノックアウトしてきた、主人公・江戸川コナンの大きな武器だ。
逆上して襲いかかってくる犯人にサッカーボールを蹴り込むのは、『名探偵コナン』のお約束となっている。阿笠博士が発明した「どこでもボール射出ベルト」によって、コナンはいつでもサッカーボールを蹴れる状態にある。
ではボール射出ベルトがなかった頃は、コナンはどうしていたのだろう。答えは単純で、身近にある蹴られそうなものを蹴っていた。この記事では、コナンがサッカーボール以外を蹴った事件を3つ紹介する。
※本記事には作品の内容を含みます
■被害者は小五郎と元太!?手始めに蹴ったのは灰皿
コナンがサッカーボール以外を蹴るエピソードは、案外早くに登場する。コミックス1巻、アニメ3話の「アイドル密室殺人事件」では、毛利小五郎の頭に灰皿を蹴り込んでいた。
コナンが居候を始めた毛利探偵事務所に、アイドルの沖野ヨーコが訪れる。ストーカーに悩まされていると話すヨーコに対し、彼女の大ファンである小五郎は調査を快諾。早速ヨーコの自宅へと向かうが、なんとそこには男性の遺体があった。
小五郎は的外れな推理を展開し、マネージャーを問い詰める。現在では間違った推理を披露する小五郎が腕時計型麻酔銃で眠らされ、コナンが事件を解決するというのがお決まりの流れだ。しかしこの頃のコナンは、まだ麻酔銃など持っていなかった。
そこでコナンは「ゴメンな、おっちゃん!!」と、近くにあった灰皿を小五郎めがけて思い切り蹴り込んだ。コミックスでは、灰皿はそのまま小五郎の頭に当たり、小五郎は気絶する。そして蝶ネクタイ型変声機で声を変えたコナンが、小五郎に代わって事件を解決した。
一方、アニメでは被害が拡大している。アニメ版ではコナンが蹴った灰皿は、偶然通りかかった小嶋元太を直撃する。元太と円谷光彦、吉田歩美の3人は、物珍しさからコナンについてきていたのだ。そして灰皿は天井で跳ね返り、小五郎の頭へと到達する。
元太の安否が気になる場面だが、コナンはその後、何事もなかったかのように変声機の調整を始めていた。麻酔銃の開発によって助けられているのは、コナンではなく小五郎や元太なのかもしれない……。
■まさに間接フリーキック! 西洋鎧のかぶとをシュート
阿笠博士がキック力を高めるキック力増強シューズを発明したことで、コナンはあらゆるものを蹴り始める。空き缶やヘルメット、ヤカンやトランシーバー、さらにはタイヤやキャベツなどを、犯人に向かって蹴り込んできた。
凶器を取り出した犯人の手や、逃げようとする背中に向かって蹴るというのが大半であるが、中には犯人を直接狙わないキックも存在する。アニメオリジナルの65話「カニとクジラ誘拐事件」では、回転扉を利用した撃退方法が見られた。
子どもが誘拐されてしまった男性と偶然出会ったコナンたちは、事件解決のために奔走する。しかし「警察に知らせたら殺す」と脅迫を受けているため、警察には相談できない。身代金を入れたカバンに発信器を仕掛けたものの、犯人は受け取った身代金を別のカバンに入れ替え、姿を消してしまう。
誘拐された子どもが話していた「カニ」と「クジラ」をヒントに、コナンは犯人が潜伏していたホテルへと辿り着く。そして逃げようとしている犯人たちを、ホテルの出口で発見した。
コナンに大声で誘拐犯だと指摘された犯人たちは、とっさに逃走を図る。蹴るものを探すコナンの近くにあったのは、飾られている西洋鎧だった。コナンは鎧を押し倒し、鎧のかぶとをキック力増強シューズで蹴りとばした。
ホテルの回転扉を抜けようとしていた犯人たちだったが、コナンが蹴ったかぶとが扉に勢いよくヒット。回転扉はものすごい勢いで回り、犯人たちは地面に投げ出されることになった。
コナン(工藤新一)のサッカー部でのポジションはミッドフィールダーだった。直接ゴールを決めるだけではない、視野が広いサッカー選手としての一面が垣間見られたエピソードだろう。しかし蹴るものを探す中、西洋鎧を“蹴られる”と判断するのは、視野が広すぎないだろうか?


