『地獄先生ぬ~べ~』や『幽遊白書』にも!90年代女子をメロメロにした…『ジャンプ』“イケメンロン毛敵”のかっこよさの画像
DVD『地獄先生ぬーべー VOL.3』 (C)真倉 翔・岡野 剛/集英社・東映アニメーション

 漫画の世界では、長髪のキャラクターが根強い人気を誇る。現実世界では、かつてのキムタクほどの長さの髪を持つ男性は見かけても、腰まで届くほどとなると珍しい。日常で見かけにくいという点も二次元のキャラクターに特別な魅力を与えているのだろうか、物語の中で長い髪をなびかせる姿に多くの女子が心を奪われてきた。

 とりわけ1990年代には、魅力的な長髪のキャラクターがしばしば敵役として描かれた。彼らは美形であるだけでなく、知性と冷静さを備え、さらに妖艶さやミステリアスな雰囲気を漂わせていた。今回は、そんな時代を彩ったロン毛の敵キャラクターを振り返ってみたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

■金髪と銀髪どっちが好き?『地獄先生ぬ~べ~』妖狐・玉藻

 1993年から1999年まで連載された『地獄先生ぬ~べ~』は、真倉翔さん(原作)と岡野剛さん(作画)による漫画で、1996年にはアニメも放送された。そして2025年7月2日には、26年ぶりとなる新作アニメがスタート。2026年1月に第2クールの放送が控えており、令和によみがえった名作に注目が集まっている。

 本作で特に女子人気が高かったのが、妖狐の中でも最上位の存在である玉藻だ。

 妖狐一族には、“400歳を超えたら驕り高ぶる人間を懲らすため人化の術で人に化け、世に災いをもたらす”という掟があった。玉藻はそれに従い、人化の術に必要な“自分に適した頭蓋骨”の持ち主・立野広を狙い、教育実習生の玉藻京介として童森小学校に潜入する。

 その後はぬ~べ~と戦闘に発展するも、敗れるとぬ~べ~の原動力である“愛”が何かを知るため外科医となって街に居つき、時折共闘するようになる。そして、一進一退ではあるものの愛に基づく人間性を身に着けていった。

 だが、合わない頭蓋骨を使い続けた影響で体が限界に達し、廃妖怪化してしまう。ぬ〜べ〜は彼を助けるべく、妖狐のトップ・金毛玉面九尾の狐に会い、玉藻とともに試練の壺に入れられることに。 

 一時的に元に戻った玉藻は、「あなたを決して殺させはしない!」「たとえこの命削られようとも…」と愛の本質を見せながら傷ついたぬ~べ~を守り、命懸けで試練を突破する。

 そんな玉藻に妖狐族の未来を見た九尾は、自身の尾を与えて復活させた。これによって玉藻はより強く、人化の術なしでも人間でいられるようになり、ぬ~べ~の良きライバル兼友人になるのだった。

 旧アニメでは紫がかった銀髪と色っぽい顔に森川智之さんの声が重なり、さらに強い存在感を放っていた玉藻。当時、彼にメロメロだったという女子は多いだろう。ちなみに髪色は原作及びOVA、新作アニメでは金髪で、旧アニメのみ銀髪になっている。個人的には銀髪派だが、意見が分かれるところだ。

■変わりゆく仙水を見守り続けた『幽☆遊☆白書』樹

 90年代の『週刊少年ジャンプ』の中でも高い人気を誇った冨樫義博さんの『幽☆遊☆白書』にも、イケメンなロン毛の敵が登場した。それが、「魔界の扉編」で異質な存在感を放った樹である。

 暗黒武術会の興奮もさめやらぬ浦飯幽助らの元に、何者かによって魔界と人間界を繋ぐ穴が広げられているという一報が届く。調査を進める中で首謀者として姿を現したのは、かつての霊界探偵・仙水忍であった。

 人間の醜悪さに絶望し、人間を滅ぼす思想に傾いた仙水。そんな彼を支えていたのが、翡翠色のロングヘアと中性的な顔立ちを持ち、次元を自由に移動する「影ノ手」を操る妖怪・“闇撫”の樹だ。

 樹と仙水の出会いは、仙水が霊界探偵だった時代に遡る。仙水に追い詰められた樹は、死の間際に“明日「ヒットスタジオ」に戸川純が出るからもう一日生きたい”とこぼした。まるで人間のようなことを言うその姿が仙水の心を捉え、以来、2人は主従を超えた絆で結ばれていったのだ。

 しかし樹は、仙水に愛情にも似た執着を抱く一方で、彼が暴走し崩壊の一途を辿ってもそれを止めようとはしなかった。その理由は、仙水が傷つき汚れ堕ちていく様を見ていたいという、実に歪んだ欲望からくるものだった。

 幽助と仙水が戦闘体制になると桑原らにタイマンを見守るよう頼み、おおよそ読者層の小中学生には向かない過激な比喩で仙水への歪んだ愛情を語り出す樹。桑原から「サイコ野郎」「諸悪の根源」と言われてしまうのも納得だ。

 その後、仙水が覚醒した幽助によって討たれると、樹は再び姿を現して静かにその最期を看取る。そして、「忍の魂は渡さない」と彼の体を抱えると、霊界には行きたくないという遺言に従い、「これからは二人で静かに時を過ごす」と異次元に消えていった。

 異次元に行ってまで永遠に仙水の傍にいることを選んだ樹の選択は、1つの愛の集大成なのかもしれない。

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