■逆恨みの連鎖が夫婦を地獄へと導く『蜜と毒』

 『蜜と毒』は、夫婦それぞれW不倫に陥った結果、浮気相手の異常な執着心によって逆恨みの復讐劇へと続いていくサスペンス作品である。

 原作は柏屋コッコさんによる漫画『蜜と毒〜逆恨みの復讐』。電子書籍レーベル『ブラックショコラ』で連載後、双葉社から単行本も出版されている。その人気から2024年1月からはBSテレ東でドラマ化を果たし、入来茉里さんが妻・小坂マチコを、白石隼也さんが夫・小坂亮平を演じた。

 物語は、子育てが一段落し、再び働き始めた主婦のマチコと夫の亮平が、それぞれ別の相手と不倫関係になるところから始まる。当初はそれぞれが甘い時間に酔いしれていたが、やがてそれぞれの不倫相手たちが豹変し、暴走しはじめる。

 マチコと亮平が夫婦関係をやり直そうとするそぶりをみせると、不倫相手たちは“裏切られた”という逆恨みの感情から、2人に対し異常なまでの執着を見せ、常軌を逸した行動を取り始める。

 元をたどれば自らがまいた種であり、ある意味、自業自得の展開ともいえる。しかし、周囲の人間をも巻き込み、危害を加えていく不倫相手たちの執念はただただ恐ろしく、単なる痴情のもつれでは済まされない恐怖を感じさせる。

 安易な不倫が招く最悪の結末を描いた本作は、不貞行為に対するある種の抑止力になるかもしれない。

■高橋メアリージュンさんの新境地が話題『奪い愛、真夏』

 最後はテレビ朝日系の「金曜ナイトドラマ」で放送・配信されていた、鈴木おさむさん脚本による通称『奪い愛』シリーズのドラマを紹介したい。25年の7月より放送されたのが、不倫、裏切り、歪んだ愛といった、ドロドロ展開を目いっぱい詰め込んだ『奪い愛、真夏』である。

 主人公の海野真夏(松本まりかさん)は、職場の社長である空知時夢(安田顕さん)と出会い、お互いに惹かれ合っていく。しかし、時夢には妻・空知未来(高橋メアリージュンさん)がいて、夫に対する愛情は異常なほど重かった。そこに真夏に一途な想いを寄せる元部下・日熊元也(白濱亜嵐さん)の存在も加わり、愛の行方は泥沼化していくのである。

 本作は、復讐劇を遂げるといった役回りの多い松本さんがヒロインを演じ、ヒロインを恨む恐ろしい女性を高橋さんが演じたことでも話題となった。

 高橋さんの迫力に満ちた演技は回を追うごとに話題となり、テレ朝ドラマ公式YouTubeには松本さんを追い込む高橋さんの迫真の演技が見られる。

 そして、本作は単なる愛憎劇に留まらず、時計を使って時空を超えた展開もあり、SF要素も楽しめる。重すぎる妻からの愛に、常に眉間にシワを寄せて困っている安田さんの絶妙な表情にも注目である。

 

 今回紹介した4作品は、いずれも夫婦関係のほころびから始まる壮絶な物語であった。絶対に自分の身に起きてほしくないと感じさせる過激な展開が多い反面、怖い物見たさでドラマの展開に釘付けになってしまった視聴者も少なくないだろう。

 ここまで極端に複雑な関係に陥ることは稀かもしれないが、いずれも不倫という一線を超えたことがきっかけで悲劇的な状況が生まれている。

 許されない恋愛のスリルと恐怖は、やはり物語の世界で味わうのが賢明だと言えるだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3