
1996年の登場以来、日本中を熱狂させ、今またリバイバルブームで世代を超えて愛される『たまごっち』(バンダイ)。手のひらサイズのデバイスの画面で、小さなキャラクターを一生懸命育てた思い出はいろんな人に刻まれているのではないでしょうか。
2025年現在も、『Original Tamagotchi』として白黒画面のたまごっちにボールチェーンがついたシリーズは新しいデザインのものが発売され続けていたり、新作ゲーム『たまごっちのプチプチおみせっち おまちど~さま!』が爆発的な人気を誇ったり、盛り上がりを見せています。
今回は、本作の企画を担当する株式会社バンダイトイ事業部企画1チーム・アシスタントマネージャーの青柳知里さんにインタビューを実施。「本当に“生きている”たまごっち」を目指したという開発の裏側、歴代シリーズから受け継がれる“変えてはいけない伝統”、そして私たちが『たまごっち』に惹かれ続ける理由に迫ります。
――今回の新作『Tamagotchi Paradise』は、ズームダイヤルがデバイスの右上についていいたり、惑星レベルから細胞レベルまで、4段階の行き来ができるようになっていいたりと、斬新です。どのような経緯で企画がスタートしたのでしょうか。
青柳さん:今回の企画で一番重視していたのは、実はダイヤルの部分ではなく、「本当に“生きてる”たまごっちを目指そう」という点でした。そこから新しいものを作ってみよう、というのが、スタート地点です。
色々と考えていく中で、最終的に「ラボ」というコンセプトと、それを再現するためのズームダイヤルというユニットに行き着きました。
――実際に遊んでみると、たまごっちが不機嫌な顔になったり、少し放置していると悲しそうになったり、確かに“生きている”と感じる瞬間が多くありました。
青柳さん:そうなんです。私たちがブランドとして掲げている目標に、「世話のやける喜びを世界中の人々に伝える」というものがあります。この「世話のやける喜び」は、開発においてかなり意識しました。
現代人は忙しいので、つい「簡単にお世話できる」方向に考えがちです。ですが、あえてズームダイヤルで4階層も作って、行ったり来たりしながら忙しくお世話をしなきゃいけないようにしました。ちょっと手間がかかるというか、“本当に生きているからこそ手がかかる”という部分を大事にしています。

――なるほど。私も最初、べびまるっち(※たまごっちのベビー期段階)が泣いているのに何をしていいのか分からなくて、とりあえずずっと“いっしょにあそぶ”のコマンドを実行していたんです。でも、実はお腹が空いていただけだった、ということがありました。
青柳さん:(笑)。でも、それも本当のペットを飼っているときと同じ感覚だと思うんです。「泣いているけど、何をしてあげたらいいんだろう? お腹が空いてるのかな? うんちかな?」みたいにユーザーが考える。そういう体験を目指しました。
