■自由に人を殺せる「悪魔の手」の正体

 最後に紹介するのは「攪乱す(みだす)狙われた湯川!!悪魔の手の恐怖実験」である。生瀬勝久さん演じる犯人・高藤英治によるこの事件は、湯川に対する挑戦ともいえるものだった。

 高藤は「悪魔の手」を名乗り、警察と湯川に殺人予告を送りつける。まさにその日ビル建設現場で建設作業員が転落死するが、この死は前日、犯人らしき人物によってネット上で予告されていた。

 転落に関しては突き落とされたなどの形跡はない。その後発生した会社員が電車にはねられ死亡した事故についても、同じく事前に予告されていた。これらの死に何者かが関与しているのはわかっても、その方法がどうしても突き止められない。

 高藤は犯行予告のなかで自由に人を殺せると豪語しており、何らかのトリックを仕組んでいるのは明らかだった。そんな中、湯川は高藤の標的になったと思われる人物から、“めまいや耳鳴りがして事故にあいそうになった”という話を聞き、真相にたどり着く。

 犯行に使われたのは、音響兵器であるLRAD(エルラド)だった。この兵器は特定の方向に長距離の音を届けることができる。高藤は23キロヘルツの特殊な超音波を照射し、対象にめまいや耳鳴りを引き起こさせた。超音波は人間には音として認識されないので、まさに「目に見えない兵器」というわけだ。

 高藤は自作とみられるこの兵器を使って、標的に気づかれることなく殺害を成功させていたのである。湯川は「ありふれた技術」などと評していたが、実際に使われたらと思うとゾッとしてしまう。

 

 今回紹介したトリックは、『ガリレオ』の中でも特にスケールが大きなものだ。いずれも相当な下準備が必要で、さらに特定の条件や環境が揃わないと成功しない、非常に難しいトリックだといえる。

 これらのエピソードは、完全犯罪の成立がいかに難しいかを物語っているようだ。

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