
2025年10月30日に、ファン待望のHD-2D版「ドラゴンクエストI&II」がリリース予定だ。『ドラクエ』シリーズの原点とそれに続く物語、そしてHD-2D版『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』がヒットしたこともあり、令和にロトシリーズがどのように蘇るか、期待している人も多いだろう。
『ドラゴンクエスト』といえば、勇者が世界征服を狙う魔王を討伐する物語。これは今なお続くRPGの典型とも呼ぶべき構図である。もちろん勇者側の成長譚が魅力だが、対峙する魔王たちもまた、シリーズを語る上では外せない。
そこで今回は「世界征服」という切り口から、歴代・魔王がどの程度まで野望を進めていたのかを比較してみたい。魔王たちはどこまで世界を奪っていたのか……その侵攻度を可視化すると、物語のドラマ性が一層鮮やかに浮かび上がってくる。
※本記事には各作品の内容を含みます
■世界征服済み?『ドラクエ1』の「りゅうおう」
時系列はさておき、シリーズ最初の魔王にして、ラスボスの原点とも呼ぶべき「りゅうおう」。昨年発売されたHD-2D版『ドラクエ3』では、りゅうおうが竜の女王の子孫であることが明かされ、その血筋の重さも話題となった。
そんなりゅうおうは、アレフガルドをほぼ完全に支配下に置き、街によっては「ドムドーラ」のように壊滅状態に追い込んでいる。さらに勇者に対し「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを ○○○○に やろう」と語りかける場面も有名だ。このセリフは、りゅうおうがすでにアレフガルドを手中に収めていた可能性を示唆するものである。
ただし世界征服の侵攻度を冷静に見ると、支配が及んでいない城や町もある。事実、ゲームスタートはラダトームから始まり、王様は勇者にりゅうおうの討伐を命じている。また、各地には細々と抵抗を続ける人々が生き延びており、勇者が活動するだけの余地が残されていた。とはいえ「恐怖で大陸全体を覆った」という点で、初代魔王としては十分な成果をあげていたといえる。
■「りゅうおう」より前の大魔王『ドラクエ3』の「ゾーマ」
『ドラクエ3』のラスボス「ゾーマ」は、時系列的には「りゅうおう」より前に存在していた大魔王となる。アレフガルドを完全に闇に閉ざした張本人だ。アレフガルドはゾーマによって太陽の光を失い、さらにはアレフガルドを創造した「精霊ルビス」さえも封印することに成功していた。
また上の世界でも下の世界でも、「バラモス」をはじめとする魔王たちを操り、着実に侵攻。「テドン」のようにバラモスによって滅ぼされた村が描かれており、世界の脅威として広く認知されていた。勇者が旅立った目的そのものが「バラモス討伐」であったことも、魔王の影響力を物語っている。
ゾーマは「下の世界を制圧済み」「上の世界を浸食中」という二段構えの侵攻を実現していた大魔王だった。勢力範囲と支配の徹底度を考えれば、歴代でも極めて高い侵攻度を誇る存在といえる。