■甘露寺が鬼殺隊入りした理由とは…?
では、そんな彼女が鬼殺隊入りした理由はどんなものであろうか。甘露寺は5人姉弟の長女で、他の柱や隊士とは違って家族は全員存命、鬼とは無縁な生活を送っていた。作中の描写から裕福な家庭だったと思われ、そのままでも幸せな一生が送れたはずだ。
しかし、甘露寺は自身の特異な体質にコンプレックスを抱えていた。彼女は筋肉の密度が生まれつき常人の8倍。力士よりも食欲旺盛で、髪の毛は好物の桜餅を8ヶ月間毎日170個食べ続けたためにピンク色と黄緑色のグラデーションになったというのだ。
結果、見合い相手からは気味悪がられ破談に。以降は髪を黒く染めたり、食事を我慢したり、弱いふりをしたりして本当の自分を押し殺していたこともあったが、“自分が自分のままでできることがあるのでは”と思い直し、鬼殺隊入りを決めたのだという。
甘露寺は炭治郎に鬼殺隊入りの理由を聞かれた時、「添い遂げる殿方を見つけるためなの!!」と答えている。妹を鬼から人間に戻したいという炭治郎や、身内を鬼に殺された他の隊士からするととても考えられない、呑気とも思える理由である。これにはさすがの炭治郎もびっくりしていたが、それを明るく語る彼女の姿は、見ていてとても気持ちがいい。
他の人にはない「恵まれた体質」の甘露寺は、鬼殺隊入りして自分の能力が活かせるようになり、自身のコンプレックスも前向きに捉えられるようになったという。
女性ファンが彼女を好きな理由は、ともすれば少女漫画の主人公のように見える天真爛漫な姿をつい応援したくなるからだろう。彼女が幸せそうにしているとこちらもほっこりするし、彼女のギャグ顔には癒される。自身のコンプレックスと向き合ってきた過去も含めて、等身大の女子らしさが共感を呼ぶのかもしれない。
甘露寺は天真爛漫さやかわいらしさだけでなく、意志の強さや周りを力づける明るさの持ち主でもある。“かわいいだけじゃない女の子”は、全女子の憧れでもあるだろう。
とんでもないフィールドである無限城においてもなお、我々を和ませてくれる甘露寺蜜璃の活躍から、今後も目が離せない。


