■劇場版につながる安室透エピソード「ケーキが溶けた!」
2018年4月7日放送の第898話「ケーキが溶けた!」は、安室透が登場するかなりレアなアニオリ回だ。劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』の前日譚であり、IoT技術をテーマとして扱っている。
安室がアニオリ回に登場すること自体稀であり、シリアスな場面が多い彼の、喫茶ポアロでの日常的な姿を見られるのもうれしいポイントだ。
物語は、喫茶ポアロの小型冷蔵庫の中に入れたケーキが、なぜかいつも溶けてしまうという些細な事件を扱う。
最終的にはコナンの推理によって、冷蔵庫の後ろに置かれたIoT家電の電気ケトルとタクシー用無線の相性の問題だったことが判明。偶然両者の周波数が一致したため、勝手にケトルがお湯を沸かし始め、その蒸気が冷蔵庫の吸気口から入り込んでしまって、ケーキが溶けてしまったのだ。
仕掛けの巧妙さもさることながら、このエピソードが神回と呼ばれる所以は、作品屈指の人気キャラ・安室が、ポアロでふだんどう働いているのかを垣間見れることにあるだろう。ケーキを作ったり味見をしたりと、彼の日常がていねいに描かれているのだ。
また、コナンと安室の事件に対するアプローチが対照的なのも印象的だった。事件を解決しようとするコナンに対し、安室は冷蔵庫が故障しても美味しく食べられるケーキを考案していた。この違いは、劇場版での2人の一時的な対立関係を示唆しているようにも思える。
殺人事件などの深刻な事件が起こらない「日常の謎」というジャンルでありながら、最新技術を駆使した仕掛けは秀逸だ。それもそのはず、脚本は劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』と同じく櫻井武晴さんが担当しているからだ。ドラマ『相棒』シリーズなどでも脚本を手がける彼の手腕により、30分で見事なミステリーが展開されていた。
IoTのほか、ドローンや東京サミット、コナンを探る安室の姿など、劇場版につながるキーワードが散りばめられ、見逃せない点が多いスペシャル感のあるアニオリ回だった。
アニオリ回は、脚本家の個性が出ることが大きな特徴だ。独特の雰囲気の回、奇想天外なトリックが光る回など、さまざまな注目ポイントがあるのも面白い。
もちろん今回紹介した以外にも、見ごたえのあるアニオリ回は数多く存在する。あなたの心に強烈な印象を残した『名探偵コナン』アニオリ回には、どんなものがあるだろうか。


