
1994年に原作漫画の連載がスタートし、1996年からアニメ放送が始まった『名探偵コナン』。コミックスは100巻、アニメは1000話を超えており、ストーリーの軸となる「黒ずくめの組織」の全貌を追いきれなくなってしまったファンもいるのではないだろうか。
近年、黒ずくめの組織の重要人物として存在感を増しているのが、組織のナンバー2であるラムだ。この記事ではそんなラムに関する情報を整理し、彼が中心となる「ラム編」の伏線について振り返っていこう。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます
■「ラムって誰だったっけ?」ラムの正体を振り返る
まずはラムという人物についておさらいしたい。ラムは主人公・江戸川コナンたちが追う「黒ずくめの組織」のメンバーであり、組織のナンバー2である。「ラム(RUM)」はラム酒に由来する組織でのコードネームで、その正体は組織の中でもトップシークレットとして扱われていた。
コナンやFBIの懸命な捜査により、ラムの候補者は3人にまで絞り込まれていた。1人目は、警視庁捜査一課の管理官・黒田兵衛。2人目は、帝丹小学校でコナンたちのクラスの副担任を務めている若狭留美。そして3人目は、毛利探偵事務所の隣の寿司屋で働く板前・脇田兼則だ。ラムは左右どちらかの目が義眼であるという噂があり、候補者の3人にはその条件が当てはまっていた。
そしてコミックス100巻、アニメ1079話「黒ずくめの謀略(正体)」にて、ついにラムの正体が判明する。それは「流れの板前」を自称する脇田兼則だった。
ひょうきんで茶目っ気がある脇田がラムだとは到底思えなかったが、正体が判明してからはその明るさがむしろ恐ろしい。悪人としての年季を感じさせる演技に、衝撃を受けたファンも多かったのではないだろうか。
■黒ずくめの組織のボスが遂に判明、解明された謎
ラムをめぐる「ラム編」では、黒ずくめの組織に関する謎や伏線がいくつか回収されている。
まずラム本人に関することでは、彼は正体が判明するずっと前、コミックスでは58巻、アニメでは502話の時点で登場していた。それは、赤井秀一が黒ずくめの組織に潜入していた頃、彼の正体がFBIだとバレるきっかけになった老人である。
赤井は当時、組織の一員「ライ」として活動しており、幹部であるジンと仕事をすることになっていた。組織幹部を捕らえる絶好の機会ということで、FBIは2人の待ち合わせ現場を張っていたのだが、その時アンドレ・キャメルが「ここは危ないからいちゃダメです!」「おじいさん!!」と声をかけてしまった老人こそが、ラムその人だった。
赤井が裏切り者である可能性を考えていたラムは、一般人に変装して待ち合わせ現場に現れ、怪しい行動をとらないか観察していた。そこにFBIが現れたので、すべてがバレてしまったというわけだった。
次に、長年謎に包まれていた組織のボスについてだ。コミックス95巻、アニメ942話で、その正体が謎の大富豪・烏丸蓮耶であることが明らかになった。実は彼の名前は コミックス30巻、アニメ219話の時点ですでに登場していた。
またメアリー・世良がみずからを指して言った「領域外の妹」という言葉の意味についても判明した。ひどく意味深な言葉であるため、気になっていたファンも多かっただろう。
これは一種の言葉遊びだった。妹の英訳はsisterで、領域の英訳であるterritoryを略すとter。そしてsisterからterを外すとSIS、つまり「シークレットインテリジェンスサービス」になる。これは、「MI6」の通称で知られる「イギリス情報局秘密情報部」のこと。つまりメアリーは、自身がMI6に所属するエージェントであることをコナンに示唆していたのである。
ついに黒ずくめの組織のボスが判明し、組織のナンバー2が姿を現した。「ラム編」では組織に関する謎が次々と解明され、ストーリーが大きく進展する予兆が感じられた。