『相棒』今こそ押さえておきたい!“杉下右京と亀山薫の絆の深さ”がわかる名エピソードの画像
相棒 season23 DVD-BOX I ©2024テレビ朝日・東映

 10月15日からseason24が放送開始され、毎話視聴者の注目を集めているドラマ『相棒』。警視庁きっての変わり者である杉下右京と、その初代相棒で肉体派かつ人情に厚い刑事・亀山薫は、これまで絶妙なコンビネーションを見せてきた。

 この2人は歴代最高の相棒との呼び声も高く、その絆の深さは、かつて右京が2代目相棒の神戸尊に「君は亀山君の代わりにはなれません」と断言したほどだ。今回は新シーズンの放送前に、彼らの絆の深さがわかるエピソードを3つ紹介していこう。

 

※本記事には作品の内容を含みます 

■右京にとっての薫の存在の大きさが伝わる「杉下右京 最初の事件」

 season5第1話「杉下右京 最初の事件」は、右京にとって薫の存在がいかに大きいかを物語っている。

 このエピソードでは、右京が初めて担当した未解決事件が22年の時を経て動き出す。旧伯爵家の御手洗邸で長男・晃一が殺された事件は、右京が捜査に乗り出したものの、家族の証言によって強盗殺人とされ、真相にたどり着けないままとなっていた。

 しかしその裏には、とある秘密を隠すための虚偽証言と、犯人は現在総理候補の国会議員・宗家房一郎だという事実があった。宗家はかつて御手洗家の書生だったという。

 右京は真実を暴き出すが、宗家は晃一の娘・聖子の名誉を守るために自首を諦めていた過去を告白する。聖子はかつて晃一から性的な暴力を受けており、それを知った宗家が激昂して晃一を殺害してしまったのだった。御手洗家の人間はかねてから晃一に手を焼いていたこともあって、宗家を庇い続けていた。

 そして宗家は殺人の贖罪のために、誠実に生き続けて国民のために生きる政治家となった。聖子とその母・律子も「日本をよくする政治家になる」と逮捕しないよう懇願するほどだった。しかし、右京は罪を知った以上は逮捕しなければならないと、かたくなな態度を崩さない。

 そこで薫が「だったら、自首にしませんか?」と提案する。そうすれば宗家の罪は軽くなり、右京の信念も守られる。薫の提案を聞いた右京は、「君がいつもそばにいてくれて助かりますよ」「僕には君のようなしなやかさが欠けています」と安心したような表情で話す。

 正義感と人情の板挟みで葛藤していた右京に対し、人としてまっすぐにぶつかっていく薫。右京にとって薫が最高の相棒であることがわかる場面である。右京の言葉は、薫の存在の大きさを率直に伝える、『相棒』ファンにはたまらないセリフといえるだろう。

 2人の関係性がよく表れているだけでなく、時効ミステリーや家族の秘密も重厚に絡み合う、シリーズ屈指の名作エピソードだ。

■薫のために怒りを燃やす右京…「裏切者」

 season5第15話「裏切者」では、重傷を負った薫のために右京が警察組織を徹底的に追及する姿が描かれる。

 主婦が違法改造銃で殺害される事件をきっかけに、警察内部の不正が浮かび上がる。最大の焦点は、その不正に加担した警察官・北村武が、薫にとって「刑事の師匠」と呼べる存在だったことだ。

 右京が真相に迫る中、薫は師を告発する現実に直面し、北村を直接説得しようと試みた。しかし、北村と会う直前、薫は男たちに襲撃され「裏切り者!」と罵られながら証拠を奪われ、入院を余儀なくされる。しかもこの男たちは、なんと北村の部下たちだった。

 師に裏切られ、心身ともに大きな傷を負ってしまった薫。その姿に静かな怒りを燃やす右京は、警察幹部の前で推理を突きつけ、不正を徹底的に暴き出した。

 事件解決後、警察庁長官官房室長・小野田公顕は薫の妻である亀山美和子に対し、「特命係は杉下が動かしていると思ってました。しかし実は君の旦那様だったんだねえ。亀山、薫君…」とつぶやく。この言葉は、右京の能力を最大限に引き出す存在こそ薫だと、彼が認めた瞬間だった。

 肉体的にも精神的にも傷ついた薫を目の当たりにし、右京が鬼気迫る姿で不正を暴いたのは、相棒への深い思いがあったからに他ならない。

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