
旗揚げから45周年を迎える劇団☆新感線が、2025年9月より松本、大阪、東京にて2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演 チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』を上演する。
本公演は10年ぶりに「チャンピオンまつり」と銘打ち、座付き作家・中島かずき氏書下ろしによる、歌舞伎の名シーンをリスペクトした劇中劇の数々と、これまで新感線が上演してきた45年分の作品のセルフパロディ・セルフオマージュを込めた演目になるという。
劇団☆新感線は1980年11月、大阪芸術大学舞台芸術学科の4回生を中心に大阪で旗揚げ。主宰・いのうえひでのり氏による演出と、座付き作家の中島かずき氏による作品で話題を集めると東京へ進出。その人気を全国区に広げていった。
本作では劇団の看板俳優・古田新太、高田聖子、粟根まことらに加え、6年ぶりの出演となる橋本じゅん、8年ぶりの出演となる羽野晶紀、そして5年ぶりに出演の橋本さとし。今や舞台だけでなく映像作品でも第一線で活躍する面々が参戦。さらに小池栄子、早乙女太一、向井理といったゲスト陣が大活躍する。
はたして『爆烈忠臣蔵』はどんな作品になるのか。中島かずき氏に話を聞いた。
――まず、劇団☆新感線、45周年おめでとうございます。45周年の公演は『爆烈忠臣蔵』となりましたが、年の瀬には定番とも言われる「忠臣蔵」を題材にしたのはなぜでしょうか。
中島かずき(以下、中島):今回は45周年公演ということもあって、お客さんに向けてお芝居を観に来てよかったと思える、楽しい芝居にしようという考えが最初からあったんです。劇団☆新感線の演目にはシリアスな路線もあるんだけど、歌もたくさん入ったにぎやかな感じにして、お客さんに「ありがとうございました」という気持ちが伝わる舞台にしたいと思っていました。
それとは別に「『忠臣蔵』の舞台を作る人の話」をずっとやりたかったんですよね。ずっと前から温めてはいたんですが、なかなか形にならなかった。でも、あるときに「歌舞伎役者になりたいと考えている女性」を主人公にしたらいいんじゃないかと思いついて。その発想から脚本が進んでいきました。
――今回の主人公は、歌舞伎役者になりたいと思う「お破(おやぶ/小池栄子さん)」という女性です。彼女を発想したことで物語が動き出したんですね。
中島:そうです。歌舞伎の世界において、女性が役者をすることはご法度という時代に、それを打ち破ってでもやりたいという女性が真ん中にいたらどうだろうと。そう思ったときに、芝居が動き出して「これはいける」という手応えがあって、今回のストーリーができていったんです。
――劇団☆新感線では、これまでにも『花の紅天狗』など、演劇に関わる人たちの作品を作られています。今回は「忠臣蔵」の舞台を作るために、狂言作者・真狩天外(まがりてんがい/向井理さん)が表に裏に活躍していきます。天外役の向井さんは「(天外のセリフには)中島かずきさんの思いも入っているのかなと感じています」と記者会見でおっしゃっていましたね。
中島:このお話の舞台となる天保の改革の頃は、歌舞伎がどんどん弾圧されているという時代だったんです。思うように芝居ができないし、もちろん女性は舞台に上がれない。幕府の裏をかいて、自分たちの芝居をやるとするなら参謀がいるよね、と。参謀は……芝居で言うなら狂言作者だよねと。じゃあ、そこは向井くんにやってもらおうと、わりと早めにイメージができあがっていきました。
そこから、脚本を書いていくうちに、この作品は「一度解散した劇団があって、そのメンバーがもう一度集まって新しい芝居をやろうとする」という構図なんだと気が付いたんです。今回は「劇団の話だよな」と。
別に、劇団☆新感線は解散したわけではないけれど、今回、橋本じゅんや羽野晶紀、橋本さとしが集まってくれて、もう一度、一緒に芝居をやるというところは、本作に重ねられる。そうやって物語の構成から書き始めたんですけど、だんだん書いていくうちに、自然と自分の実感が伴ったセリフが入っていくものなんですよね。