『HUNTER×HUNTER』単行本の表紙に「仕込まれた謎」、鳥肌レベルの伏線と気になる意味深描写の画像
「HUNTER×HUNTER 幻影旅団編 DVD-BOX I」(バップ) (C)POT(冨樫義博)1998年-2011年 (C)VAP・日本テレビ・集英社・マッドハウス

 1998年に週刊少年ジャンプ(集英社)で連載が始まり、熱狂的なファンから支持されている冨樫義博氏の『HUNTER×HUNTER』。

 現在休載中ではあるが、冨樫氏は自身のSNSで原稿作業を進めていることを報告しており、連載再開を期待する声も多い。また連載再開の前に、前回掲載分のエピソードが単行本化されるパターンが最近のお決まりになっている。

 実は、同作では単行本の表紙にその後のストーリーの伏線が描かれていることがあり、その巧妙な手法にファンはたびたび衝撃を受けてきた。そのため新刊が発売されると、表紙に穴が空くほどじっくり観察することがファンの楽しみにもなっているのだ。

 そこで、これまでの単行本の表紙に隠されていた鳥肌モノの伏線から、まだ詳細が分かっていない意味深描写まで紐解いていこう。

※本記事には作品の内容を含みます。

■【単行本30巻】裏で手を組む2人と手の内を見せていない3人

 『HUNTER×HUNTER』の表紙に隠された伏線と思われる描写で、もっともインパクトが大きかったのは単行本30巻だろう。「キメラ=アント編」のクライマックスから「会長選挙編」の導入部分までが収録されている同巻の表紙には、十二支んの後ろ姿が描かれている。

 全員が背中を向けていることに違和感を覚えた人は多いだろう。しかし、あまりにも伏線の張り方が巧妙なため、この絵を最初に見た段階でメッセージが仕込まれていることまで気づくのは難しかったはずだ。

 この30巻の表紙絵に隠された意味が明らかになったのは、単行本33巻のことである。まず元ハンター協会副会長で十二支んを脱退したパリストン=ヒルが、暗黒大陸探検隊の総責任者ビヨンド=ネテロとつながっていることが判明する。

 さらには十二支ん入りしたノストラードファミリーの若頭クラピカが、「導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)」で内通者を暴く。裏切っていたのは十二支んのひとりで、申のコードネームを持つサイユウだった。

 この事実を知ったうえで、あらためて単行本30巻の表紙を見ると、パリストンとサイユウだけが後ろで手を組んでいるのだ。この2人はビヨンド側で、裏で手を結んでいることを示す伏線だったと考えられる。

 後ろ姿が描かれていた謎と、さりげないポーズに隠されていた本当の意味。この緻密な仕掛けにファンは大きな衝撃を受けた。

 これを受けて世界最高峰のハンターであるジン=フリークス、クライムハンターのミザイストム=ナナ、トレジャーハンターのカンザイにも注目が集まっている。彼ら3人だけはポケットに両手を入れているという共通点があるのだ。

 彼らはポケットに手を入れているため、何らかの「手の内を隠している」ことを意味しているようにも受け取れる。なお現在ジンとパリストンは、ビヨンド側の現ナンバー2と元ナンバー2という関係にある。

 ビヨンドがサイユウともつながっているなら、ジンはミザイストムやカンザイと隠れて連携をとっているという可能性もありそうだ。

■【単行本32巻】亥ではなくネコと一緒に描かれているジン

 十二支んでのジンのコードネームは「亥」である。そのため単行本32巻の表紙で、なぜかネコと一緒に描かれていたことに疑問を持った人も多いはずだ。

 この答えらしきものが同巻の最後に示されており、ハンター協会の新会長チードル=ヨークシャーからジンとパリストンの十二支ん脱退が発表された。ネコは自由奔放でツンデレなところが愛されるとともに、十二支の中に入れなかった動物としても有名だ。

 そのため、表紙にネコが描かれているのはジンが十二支んを抜けることを意味するという考え方もできる。ただ、ジンの十二支ん脱退自体は単行本32巻内で明らかになっていることなので、同巻の表紙が伏線になっているとはいえない。

 そうすると、この表紙のネコに隠された本当の意味は、その後に描かれた「ジンの目的」を示しているとも考えられる。単行本33巻ではパリストンの元を訪れたジンが、「ここからはオレが直接遊んでやる」「お前が勘弁してくれと言うまでな」 と宣言していた。

 ご存知のとおりネコとネズミは因縁が深い。ネコが十二支に入っていない理由には諸説あるものの、もっとも有名なエピソードはネズミに騙されたというものだ。そして十二支んの時、パリストンのコードネームは「子(ネズミ)」である。

 32巻の表紙に描かれていたネコは、ついにジンがネズミ狩りを開始するという伏線になっていたと考察することもできるだろう。

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