■イスから振り落とされそうになるほどの緊張感
このように我々は時に隊士の立場で、時に鬼の立場で座席からの衝撃を受けるため、油断していると後ろから殴られたり斬られたりといった感覚が忙しなく、無限城の映像美も相まって作品の立体感がものすごく伝わる。鬼殺隊士たちが「ヤバいところに来てしまった」というのが言葉なしでも体験できるのだ。
特に、目にも止まらぬ速さで移動しながらの戦いは、イスから振り落とされそうになるほど。何度ずり落ちそうになったかわからないが、それだけ戦いも過酷だということだろう。猗窩座戦での攻撃の応酬は、乗り物酔いしないように注意だ。
一方で派手な戦闘シーンだけでなく、キャラクターの振り向きや視点の移動で座席がゆっくりと揺れるのが、その場にいるようなリアルさも感じられた。映像に対してどの動きやエフェクトをつけるのかを決めている人がスゴすぎる……。
また、物語の緩急にも注目したい。アクションシーンは息つく間もなく座席が激しく動くが、全く動かないシーンも存在する。それによって、より物語のワンシーンが印象的になるのだ。
筆者は冒頭や炭治郎の回想シーン、猗窩座の回想シーンなどエフェクトの雪が降ったシーンが全て印象的だった。その様子は絵としてとても美しく、155分という長尺の中でも特に記憶に残っている。
無限城に放り込まれた隊士の気分で物語を体感したい人はぜひMX4D/4DXにも足を運んではいかがだろうか。同じ映画でも全くの別物のように感じる。普通に見るのとは違った映画の楽しみ方ができるだろう。


