まるで鬼殺隊の一員のような“体感”が…『鬼滅の刃 無限城編』は「4DX/MX4D」でこそ観るべき理由の画像
アニメ『劇場版 鬼滅の刃 無限城編』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 吾峠呼世晴氏の漫画を原作としたアニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が全世界での累計観客動員6702万人、総興行収入823億円を突破。日本を含む全世界における、日本映画歴代興行収入1位を達成した。

 7月18日に公開されるやいなや、瞬く間に大ヒットした同作。9月23日には鬼になる前の猗窩座の姿である狛治と、彼と関係の深い恋雪が描かれた「一生あなたを守ります」「私と夫婦になってくれますか?」というキャッチコピーを使用した第6弾キービジュアルが公開されるなど、まだまだ勢いは止まらない。

 そんな大ヒット映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、座席の動きや風、水しぶきなどの演出を使用したMX4D/4DXでの上映が8月30日より開始されている(8月15日からは1週間限定で先行上映も行われていた)。そして、これが現在でもかなり予約の取りづらい状況となっているのだ。

 なぜ、そんなにも人気なのか。実際に体感してみると、『鬼滅の刃』のMX4D/4DXの世界は、まるでスクリーンが、舞台である無限城そのままになったかのようなとんでもないものだった。今回は、同作をMX4D/4DXで体感したほうがいい理由をレポートの形式でお届けしたい。

※本記事には作品の内容を含みます。

■おそらく他のどの映画よりもMX4D/4DXと相性がいい『鬼滅の刃』

 筆者は都内在住だが、土日や都心の大きい映画館では連日『鬼滅の刃』のMX4D/4DXは売り切れでチケットの取れない状況だった。そこで今回は、平日の午前を狙って少し都心から離れた小さめの映画館へ。それでも客席は満席だった。

 映画が始まるや否や、実写かと見まごうほど力の入った作画のオープニングシーン。林の中で雪が降っているという画は「柱稽古編」のアニメの終わりから考えるとあまりに静かなスタートに思えた。

 そこから、鬼殺隊士たちが無限城に落とされていく様子が描かれる。先ほどとは打って変わって、激しい振動に没入感はいきなりマックスに。我々は映画館という無限城に落とされた鬼殺隊士ではないかという気さえしてきた。

 急な鬼の出現とともに動く椅子に驚き、攻撃され、自分の背中で無限城の壁や床に当たる感覚。もはや映画を見るというより、五感全てで『鬼滅の刃』の世界を「体感する」時間だった。戦いの渦中にいるような気持ちになるので、まだ映画を見ていない人はまずは一度通常バージョンで鑑賞して、MX4D/4DXでの鑑賞は2回目以降がいいかもしれない。


 『鬼滅の刃』はおそらく他のどの映画よりもMX4D/4DXと相性がいい。隊士の武器や攻撃の重さによってMX4D/4DXのエフェクトや衝撃の重さが違うのにもなるほどと思わされた。

 例えば、岩柱の悲鳴嶼行冥の攻撃は、とにかく体に衝撃が走るような「ズンッ」という重い一撃。逆にスピード感のある刀裁きの隊士などは「ヒュンッ」「プシュッ」といった早い攻撃に合わせて風が吹き、閃光が走る。攻撃の個性がアニメ以上にリアルに感じられた。

 またMX4D/4DXのエフェクトはモーション以外にも水、風、フラッシュ、香りなどいろいろあるが、『鬼滅の刃』の醍醐味といえばそれぞれの剣士の使う呼吸の個性。それがまさにエフェクトにマッチしていた。

 元花柱である胡蝶カナエが登場すると劇場には花の香りが満ち、上弦の弐・童磨の攻撃で目に見える煙が現れると、ついそれを吸わないように警戒してしまう。

 水柱・冨岡義勇の技ではこれでもかと水を浴び、炭治郎の繰り出すヒノカミ神楽や冨岡に痣が出るシーンは首元に熱がかかり、つい気持ちも盛り上がってしまった。

 我妻善逸の戦闘シーンでは閃光と「雷の呼吸」の相性が抜群だった。足がピリピリする独特なエフェクトも雷の呼吸っぽい。しかし同じ閃光を使った効果でも、刀のエフェクトと花火のシーンでは全く印象が異なる。特に花火シーンでの閃光の使いかたは効果的で、劇場のいたる所から涙をすする音が聞こえてきた。

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