『刃牙』『はじめの一歩』『ONE PIECE』でも…主人公そっちのけで「最強同士が激突した頂上決戦」 手に汗握る激アツ展開の行方は?の画像
少年チャンピオン・コミックス『範馬刃牙』第27巻(秋田書店)

 アニメや漫画では、“こいつとこいつが戦ったらどうなるんだ?”と胸躍らされる「最強同士の対戦」が描かれることがよくある。規格外の強さを持つ者同士の戦いは非常にハイレベルで、読者はもちろん登場人物たちも皆圧倒されてしまう。

 時には主人公さえ置いてけぼりにされてしまうほどの、圧倒的な強者同士の戦い……。今回はその中から特に印象的だったものを紹介していこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

■『刃牙』あの範馬勇次郎が血を流した!?

 『刃牙』シリーズを象徴する存在である範馬勇次郎は、主人公・範馬刃牙の父親であり、「地上最強の生物」との呼び声も高い。格闘技術などは弱者が使うものと考え、己の戦闘センスと驚異的なフィジカルのみで戦う男である。その戦闘力は素手で軍隊をも壊滅させるほどで、世界中の格闘家や軍隊から恐れられている。

 しかしそんな勇次郎相手に、真っ向勝負で渡り合うもう1人の最強、郭海皇が現れる。年齢は140を超え、中国拳法の頂点に君臨する存在だ。普段は車椅子に乗ったヨボヨボのおじいちゃんだが、相手の攻撃の威力を受け流す「消力(シャオリー)」や、それを応用した拳でコンクリートを粉砕するパワーを見せつける。

 あの勇次郎が壁際に追い詰められたり、宙に浮かせられたり、血を流したりと、衝撃の場面が続く。「究極の暴力 対 究極の武」という頂上決戦に読者は前のめりになったものの、このドリームマッチは意外なかたちで決着する。なんと、戦闘中に郭海皇が老衰により死去(後に死んだフリと判明)したのである。勇次郎は最後の最後で最上級の獲物を逃してしまった。

■『はじめの一歩』劣勢からの大逆転がアツい!

 格闘漫画『はじめの一歩』では、鷹村守とブライアン・ホークによるWBC世界J・ミドル級タイトルマッチが印象深い。

 あらゆる点でハイレベルなボクサーである鷹村と、変則的なスタイルで対戦相手を翻弄するホーク。両者ともに譲らない戦いが繰り広げられるが、時間が経つごとに鷹村は減量の影響でスタミナ切れになり、防戦一方となってしまう。

 ついには意識も途切れになり、敗北が決まったかに思えたその時、鷹村は会長やジムメンバーの思いを背負い覚醒。驚異的なパワーを見せつけ、ホークを一方的にフルボッコにする。

 その後、鷹村は起死回生を狙ったホークの一撃を難なくよけると、最後の一撃でホークを沈め、世界チャンピオンとなった。突如豹変した鷹村を前にホークが恐怖する姿も印象的である。KO負け寸前の状況からの鮮やかな逆転劇は、間違いなく作中のベストバウトの1つだろう。

■『ONE PIECE』時代を作り上げた2人の戦い

 『ONE PIECE』のゴール・D・ロジャーVS白ひげ(エドワード・ニューゲート)もまた、懸賞金の圧倒的ツートップによる最強同士の戦いである。この2人は幾度となく死闘を繰り広げた最強の敵であり、最高のライバルだ。

 時代を築き上げた2人の戦いは単行本96巻の回想シーンで描かれ、とある島にて白ひげ海賊団がロジャー海賊団に攻撃を仕掛けるところから始まる。先陣を切って特攻する光月おでん(当時の白ひげ海賊団2番隊隊長)だったが、ロジャーの「神避(かむさり)」によって一瞬で吹き飛ばされ、そこに現れた白ひげと船長同士の戦いへと突入した。

 白ひげとロジャーが刀をかわすと、2人の覇王色の覇気が衝突し、その衝撃は島全体を爆風で覆うほどだった。その後、お互いを知り尽くした2人とその仲間たちによる激闘は三日三晩にまで及ぶ。しかし4日後には、何事もなかったかのように宴が始まり、皆で仲良く酒や食料の交換をしていた。戦闘シーンの描写は短いが、その少ないシーンだけでも白ひげとロジャーの規格外な強さが伝わってきた名バトルだった。

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