昭和『ウルトラマン』偉大なる先代に敵わない「二代目」怪獣たちの悲哀 「コレジャナイ感が否めない…」の画像
DVD「ウルトラマンタロウ VOL.7」(DIGITAL ULTRA PROJECT) (C)円谷プロ

 1966年放送の『ウルトラQ』から始まった昭和『ウルトラマン』シリーズには、強烈なパワーを生かしてウルトラ兄弟を追い詰めた怪獣や、人間の弱みにつけこむような悪辣な作戦で地球侵略を目論んだ宇宙人が数多く登場した。

 中でも特に強いインパクトを残した怪獣や宇宙人たちは、「バルタン星人」のように再度登場することもしばしば。ただし、最初に登場した時の印象があまりにも強烈すぎたせいか、二度目以降の登場時はスケールダウンを感じてしまうことも少なくない。

 そこで今回は昭和の『ウルトラマン』作品にて、二代目ゆえの弱体化や悲哀が感じられた怪獣や宇宙人を厳選して振り返っていこう。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■強烈なインパクトを残した生体兵器が一転!? ユニークな動きが目立った「再生エレキング」

 最初に紹介するのは1973年放送の『ウルトラマンタロウ』の第28話「怪獣エレキング 満月に吼える!」に登場した「再生エレキング」だ。

 「エレキング」はもともと1967年放送の『ウルトラセブン』の第3話「湖のひみつ」に登場した宇宙怪獣だ。

 白と黒を基調とした体色に、目の部分が角になっている独特のデザインが秀逸。さらに長い尻尾を相手に巻きつけて50万ボルトの高電圧を流す戦い方もスマートだった。このエピソードでカプセル怪獣「ミクラス」を圧倒したのも、強敵という印象を残すのにひと役買っている。

 しかし、『ウルトラマンタロウ』の中で満月のエネルギーを吸収して蘇った再生エレキングは、月の影響なのか体色が黄色っぽく変化。口や尻尾から高熱の火炎を発射するようになった代わりに、口からの光弾は出せなくなったようだ。そのうえ尻尾も短くなり、電気ショック攻撃もできなくなっていた。

 かつてのエレキングは厳しく手強い相手だったが、再生エレキングは宇宙科学警備隊「ZAT」の攻撃を受けるとダンスを見せるなどコミカルな動きを披露。ターザン、孫悟空、猿飛佐助を名乗る、人間の悪ガキたちに翻弄される場面まであった。

 もともとピット星人が地球侵略のために連れてきた“怪獣兵器”だったはずが、どことなくユーモラスで憎めない存在になっていたことも、初代からのパワーダウンを感じてしまう一因だったのかもしれない。

■紳士的な姿はどこへ? 子どもを狙った悪質な作戦を敢行した「メフィラス星人(二代目)」

 続いてピックアップするのは、同じく『ウルトラマンタロウ』の第27話「出た! メフィラス星人だ!」に登場した「メフィラス星人(二代目)」だ。

 「メフィラス星人」といえば、初登場は1967年に放送された『ウルトラマン』の第33話「禁じられた言葉」の回。黒く引き締まった印象のボディと青く光る目が特徴的で、「バルタン星人」「ザラブ星人」「ケムール人」といった宇宙人を従え、かなりの強敵であることをうかがわせた。

 ウルトラマンと互角の力を持ちながら、地球侵略の目的を果たすために地球人の少年と交渉。その話し合いが決裂すると、ウルトラマンとの戦闘を途中で切り上げ、地球から去っていく紳士的な姿も印象深かった。

 一方、二代目のほうは、伝説的な古代植物「マンダリン草」を悪用して、地球の子どもたちを「マンダリン病」という奇病に感染させる。地球の子どもたちを虚弱にして絶望させる卑劣極まりない作戦を決行した。しかも、自身は基本的に姿を現さないというズルさである。

 ZATに存在がバレて、東光太郎(ウルトラマンタロウ)に作戦が卑怯だとなじられると、二代目は「卑怯もラッキョウもあるか!」と反論。さらに街で大暴れし、紳士的だった初代メフィラス星人とは比べ物にならないほど暴力的な行動を見せている。

 また、二代目は腹部や目の周りの色合いが初代と異なるほか、どことなくふっくらした体つきに変化。地球侵略の手段だけでなく、体型からもスマートさが失われたおかげで、初代とはまったく違う印象を受けた。

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