名作『キャッツ・アイ』今なお語り継がれる「3つの異なる最終回」…ハッピーエンドを超える感涙のドラマの画像
アニメ『キャッツ・アイ』ティザービジュアル (C)北条司/コアミックス

 北条司氏の伝説的作品『キャッツ・アイ』が、ついに完全新作アニメとして復活する。ディズニープラスにて9月26日より配信開始され、往年のファンはもちろん、原作や旧アニメを知らない世代からの注目も集まっている。

 実は本作は、旧アニメと漫画で異なる最終回を迎えており、しかも漫画版には2種類のラストが存在する。今回は、それぞれがどんな形で幕を引いたのか、そのドラマをあらためて振り返っていこう。

※本記事には作品の内容を含みます

■アニメと原作の最終回は別物

 1981年から1984年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載された本作は、『シティーハンター』に先駆けて北条氏が描いた連載デビュー作であり、美人三姉妹の怪盗劇と刑事との恋愛という異色の設定で人気を博した。アニメ版は1983年から1985年にかけて第1期・第2期が放送され、杏里さんが歌う主題歌『CAT'S EYE』も大ヒットを記録している。

 物語の中心は、怪盗「キャッツ・アイ」として美術品を盗む泪・瞳・愛の来生三姉妹と、彼女たちを追い続ける刑事・内海俊夫との攻防である。表向きは「喫茶キャッツアイ」を経営する瞳たちだが、行方不明の父ミケール・ハインツの美術品を取り戻すために日々盗みを続ける。その一方、瞳は俊夫の恋人でもあるという二重生活を送っており、この「怪盗と刑事」「婚約者とキャッツ」という構図が作品全体の緊張感を生み出していた。

 アニメ版最終回では、三姉妹が父の最後の美術品を狙い、俊夫率いる警視庁の包囲網をかわして盗みを遂行する。俊夫は最後まで彼女たちの正体を突き止められず、物語は三姉妹の未来を匂わせる形で幕を閉じた。決定的な証拠をつかませずに去るキャッツ・アイの姿は、続編を予感させる演出として今なお印象に残るものであり、旧アニメが多くのファンに語り継がれている理由のひとつでもあるだろう。

 対して原作漫画には2種類の最終回が存在する。物語終盤、三姉妹は父を陥れたクラナッフらと決着をつける。幻の彫像「アテナイのアフロス」の引き揚げ法が記された3枚の絵を巡る最後の勝負で、クラナッフがハインツの双子の弟であることが判明し、彼はシンジケートを巻き込んで美術館を爆破し散っていった。瞳たちは間一髪で脱出し、すべてが終わった後にキャッツ・アイから湖畔に呼び出された俊夫は、霧に包まれた対面の中でキャッツから「父を探すために旅立つ」と告げられる。

 そのやりとりの中、俊夫は“キャッツに惹かれているが、瞳がいる”と打ち明けるが、霧が晴れた後姿を現したのはまさに瞳本人だった。瞳は俊夫が自分を選んでくれたことに感謝しつつも、刑事を辞める決断をしなかった彼に別れを告げ、再び霧の向こうへ消えてしまった。

 その後、瞳たちが渡米するという情報を知らされた俊夫は、用意していた辞表を提出して空港へ急ぐ。そして搭乗直前になんとか追いつき、瞳に婚約指輪を「手錠」として投げ渡すと、彼女がその指輪を持っている限りどこまででも追っていくと誓う。瞳は指輪を薬指にはめ、姉妹とともに飛び立っていった。これが連載時の最終回「絆よ永遠に!の巻」である。

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