■ゼフを人質に取られ…「ホールケーキアイランド編」での一味脱退騒動
人の過去は変えられず、時にはかつての遺恨が幸せな今を脅かすこともある。「ホールケーキアイランド編」でのサンジは、自身の生まれや過去の出来事のせいで“麦わらの一味”という大切な居場所を奪われかける事態に直面した。
「北の海(ノースブルー)」を支配するため、四皇であるビッグ・マムとの同盟を望んだジャッジは、とうの昔に縁を切ったサンジをビッグ・マムの35女、シャーロット・プリンと結婚させようと目論む。当然、拒絶するサンジだが、ジャッジにゼフの写真を見せられ「こいつの首が飛んでもいいのか!?」と脅されてしまうのだ。
さらにサンジは、この結婚がヴィンスモーク家を皆殺しにするためのビッグ・マムの罠であることまで知ってしまう。どれだけひどい目にあわされても、血のつながった家族をどうしても見捨てられないサンジは、すべてを諦めて結婚を受け入れる。
自分を連れ戻すためにやってきたルフィに対し、「下級海賊」と心にもない言葉を投げかけ、決別のために何度も蹴りをお見舞いしたサンジ。しかし、その攻撃を受けとめ続けたルフィは「おれの事 蹴るだけ蹴っても!! 痛ェのはお前だろ!!!」と叫び、サンジの本心を見抜いた。
この言葉に涙を止められないサンジの姿を見た一ファンとしては、「どうしてサンジだけがこんなにつらい目にあわなきゃならないんだ」と苦悩したものだ。
こうして振り返るだけでも、サンジの半生は波乱に満ちている。気の合う仲間たちと心から笑い合い冒険できている現在は、彼にとって幸せな日々に違いない。
ホールケーキアイランドでの激闘後、ルフィとサンジは和解した。いつも通りナミにメロメロになる彼の様子を見たルフィは「なんか安心したよおれ」と、漏らしている。その言葉はルフィだけではなく、まさに読者の気持ちを代弁するものであった。数々の苦難を乗り越えてきたサンジが幸せであり続けること、それは、ファン共通の願いなのである。