
アニメや漫画に時折登場する「ヤンデレキャラ」。たったひとりの相手に想いを寄せる姿は一見可愛らしく健気だが、ふとした瞬間に重すぎる愛から暴走する姿にはゾッとさせられる……。
そんなヤンデレキャラの末路のほとんどは叶わぬ恋だったり、途中リタイアという形になったりしてしまうことが多い。しかし、もちろん全員が全員そうなるわけではなく、想いを遂げて好きな相手と結ばれるパターンもあるのだ。そんな“最終的に幸せをつかんだヤンデレたち”を紹介していこう。
※本記事には各作品の核心的な内容を含みます
■なんだかんだハッピーエンド『ジョジョの奇妙な冒険』山岸由花子
荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』には、個性豊かな、というより“ぶっ飛んだ”と形容するのがぴったりなキャラが数多く登場する。それは女性キャラも例外ではなく、中でも第4部『ダイヤモンドは砕けない』に登場した山岸由花子の行動は常軌を逸したものばかりである。
由花子は思い込みの強い性格で、同級生の広瀬康一を一方的に好きになったかと思うと、自分の思うがままとんでもない行動をとりまくる。康一にちょっと優しく接しただけの女子生徒をスタンドで殺そうとしたり、康一を“立派な男に教育する”という名目で別荘(しかも他人の)に監禁したり……。
おまけに、成績を伸ばすため、康一が問題を解けないとまともな食事をさせない、トイレを使用させない、電気椅子まで用意するという状況だ。
これにはおとなしい康一も我慢の限界。由花子に向かって「大嫌いだ」という言葉をぶつけ、戦うことを決めた。もちろん、康一が自分のものにならないと知った由花子は激怒して、スタンド能力を駆使して大暴れする。
しかし、それも康一によって阻まれ、さらに最後は危ないところを救われる。こうして、自分を殺そうとする由花子すら救おうとした康一に、由花子はあらためて惹かれてしまうのだった。由花子との戦いで一皮むけた康一が堂々とした振る舞いを見せるようになったのもよかったのだろう。
その後ふたりはどうなったのかというと、紆余曲折のすえ両想いになっている。由花子が心を入れ替え、真の意味で一途に康一を愛するようになったからこそだろう。それにしても、あんなに酷い目に遭わせてきた由花子と縁を切らなかった康一もある意味ぶっ飛んでいるかもしれない。
■時空や次元を超えた愛…『未来日記』我妻由乃
えすのサカエ氏による『未来日記』の我妻由乃もかなりのヤンデレだ。彼女は主人公の天野雪輝に執着しており、ストーカー行為を繰り返すばかりか、邪魔するものは雪輝の親であろうと容赦せず攻撃するという考えだ。
本作のストーリーは、未来日記と呼ばれる特殊な日記を持つ12人が、神になるため生き残りをかけたサバイバルゲームを行うというものである。それぞれが多種多様な未来がわかる日記を持っているが、由乃の日記は雪輝の未来の行動が10分おきに記録されるという「雪輝日記」。この時点でもう雪輝への愛が重くて怖すぎる。
そんなわけで、雪輝は何をしようと由乃から逃れられず、はじめはとにかく彼女を恐れていた。とはいえ、彼女の協力のおかげもあって雪輝はデスゲームを最後まで生き残れた。そうして数々の死線をふたりで乗り越えるうち、雪輝の気持ちも少しずつ変わっていく……。由乃に対して純粋な愛を抱き、心を通わせるようになったのだ。
終盤では、実は由乃は世界をループしており、作中世界が「2周目」の世界だったと明かされる。由乃は1周目の由乃であり、2周目の自分を殺害した上で“成り代わって”いた。しかし結局、彼女はみずから死を選んで雪輝に勝利を譲ることに……。さらに3周目の世界では、由乃は雪輝の記憶を失ってしまっていた。
だがその後、由乃は1周目と2周目の自分の記憶を与えられ、最終的に雪輝と結ばれるハッピーエンドを迎える。このカップル成立は時空や次元を超えているので、あまりにもスケールが大きすぎる愛だ……。