■家族で見られる京アニ作品!第4位は『CITY THE ANIMATION』
4位に選定したのは『CITY THE ANIMATION』。アニメ『日常』をご存知でしょうか? 2011年に放送されたあらゐけいいちさん原作の作品で、京都アニメーション制作だったのですが、今回の『CITY THE ANIMATION』もその時と同じ座組になっています。
ちなみに『日常』はその後、NHKでも再放送されたように、あらゐさんの作品はNHKでも流せるような全世代が楽しめる作風なんです。『カードキャプターさくら』を筆頭に、受信料を払って見られるアニメは“特別”という感情を持ち合わせるオタクです。
自分は『よつばと!』や『あずまんが大王』みたいな日常系アニメ全般が好きなのですが、ああいう作品の特徴って、子どもにも読ませられるし、一緒に見ながら大人も感動しちゃう……という特徴があると思います。バカなテンポで進むかな? と思いきや、時折心をグッとつかまれる……そんな雰囲気がこの作品にも流れています。
物語としては群像劇で、『デュラララ』みたいに登場人物がたくさん出てきます。なので、ボケとギャグで進むコメディ『デュラララ』みたいなイメージでしょうか。
序盤は主要人物であるモンブラン大学に通う3人の女の子のエピソードを中心に話が進むのですが、物語が進んでいくと家族、漫画家、警察、現代のウィリアム・テル、令嬢などが登場してきて「え、こことここが繋がってたの!?」という発見があり、さまざまな要素が交錯していくんです。
そういう緻密な人間関係が描かれつつ、作品でずっと展開されるのはずーっとコメディ。たまに恋愛。そのギャップがめちゃめちゃおもしろいです。TBSの『イロモネア』で例えるなら『日常』が一発ギャグで、『CITY THE ANIMATION』はショートコントって感じ。様々なシチュエーションでコントを重ねていくことで、街全体での人間関係が構築されていくのを観察するような感じです。
『日常』のときもそうでしたが、今後のネットミームにもなりうる、日々使いたくなるようなキャッチーなツッコミやキーワードが物語の中でポンポン出てきます。シンプルにギャグセンスが高すぎる。配色やテンポもバリエーション豊かで、見ていて楽しくなるようなカラフルなアニメーションになっています。
京アニというと、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『らき☆すた』と、SFやドタバタ系も作るし、『ヴァイオレットエヴァーガーデン』みたいな美麗な作品も作るんですけど、初めて『日常』を見たとき、「京アニってこっちの表現もめちゃめちゃ面白いじゃん! すげええ!!」と思いました。今回の『CITY THE ANIMATION』も、可愛い絵なのにタッチが激画チックでビュンビュン動く。声優さんのポップな演技も噛み合っています。
家族で見られる作品で超キュートです。アニメーションの素晴らしさってほんと多様だなあ! って改めて思う感じですし、子どものころの純粋さを取り戻せます。見るサプリ的なアニメなので、元気がないときに鑑賞すると元気になるはずです。
【プロフィール】
田口 尚平(たぐち しょうへい)
2015年にテレビ東京にアナウンサーとして入社後、スポーツ中継やバラエティ番組を担当。2020年にテレビ東京を退職後、早稲田大学院でMBAを取得し「オタクを極める」という目標を掲げて「Gamchew」を創業。ゲーム実況をはじめ、エンタメ領域の仕事を続けながら、企業のビジネス支援活動なども行っている。元TBSアナウンサー・宇内梨沙さんとのポッドキャスト番組『うない、たぐちの「オタクというには限界です。」』も好評放送中。


