■第5位は、ジャンプ+発アニメの2期がランクイン!『ダンダダン』
もう本当に、1位とさせて頂きたいのですが…!! 原作がジャンプ+で連載中の『ダンダダン』を5位にしました。一言で言うと、演出と作画がすごすぎる。
1期のOPでは「Creepy Nuts」の『オトノケ』を使用したOP映像が世界的にも話題になりました。アニメ-ションはサイエンスSARUが制作しているのですが、とにかくキャラがグリングリンに動くし、配色の使い方も他のアニメと一線を画す超独特な作りになってます。
画の動きの衝撃度で言うと、初めて『進撃の巨人』を見た時と同じ感覚でしょうか。ジャンプ+は『チェンソーマン』『SPY×FAMILY』と、作品としてのパワーがすごいので、『ダンダダン』も放送局や制作会社同士の熾烈な製作争奪戦があったと思うんです。その分、ファンからの期待値もすごかったと思いますが、ハードルを余裕で超えていきました。よくもまあテレビシリーズでここまで動かすなと。毎話映画を見ている感じです。
物語は、霊媒師を祖母に持つ女子高生・綾瀬桃(モモ)と、宇宙人の存在は信じていないが幽霊は信じているオカルトマニアの男子高校生・高倉健(オカルン)とその仲間たちが織りなす、SFオカルティックアニメです。時にラブアンドロマンスのような展開もあり、次々に登場する怪異やUMAを退治していきながら人々を救っていきます。
怪異は怪異として、UMAはUMAとして描く作品が多いなかで、両方の存在をごった煮にしてストーリーに落とし込んでいく構成が素晴らしいです。主人公vs怪異vs宇宙人みたいな構図がたびたび発生して、思惑が交錯していく様がとても面白い。
ギャグテンポもよくセンスも素晴らしい。キャラクターがめちゃくちゃ差別化されていて魅力にあふれています。オタク、ヤンキー、ぶりっ子、陽キャみたいな。アニメーションだと大体4話ぐらいで個々のキャラクターエピソードを結んでいくイメージですね。ジャンプ特有の友情・努力・勝利というような展開もしっかりと描かれていて、個性豊かな仲間もどんどん増えていく。大元の巨悪……みたいな存在は原作で少し出てきたかな?
で、今シーズンはアニメ2期にあたるんですが、まず第1期7話の話をさせてくれ(笑)。主要キャラの白鳥愛羅をめぐるエピソードで登場した怪異・アクロバティックさらさら(以下、アクさら)の過去にまつわる物語なんですが、嗚咽するほど涙が出るし、すごく重いんです。「アニメでそこまで描くのかよ……」みたいな。もうね、死ぬほど泣けてしまう。ゲロ重ですよ。親子のエピソードは全人類に対して貫通クリティカルを持っている。
アクさらはもともと一人娘の母親。貧しい状況でシングルマザーとして愛する娘を大切に育てていた中で、自分の娘が借金取りにさらわれてしまうんです。そういうシチュエーションそのものは、他の任侠系マンガとか、アングラ系の作品にもよくあると思います。
でもこれダンダダンがすごいのが、正味10分ほどの尺で心を抉ってくる演出と構成なんですよ。怖い人たちに娘が攫われるときの子どもの演技(CV:木野日菜さん)が痛ましすぎるし、娘だけが生きがいというアクさらの息遣いや焦燥感がダイレクトに伝わってくるようです。
家から飛び出して娘を追いかける際のPOV(一人称)視点での描き方はまさにアニメーションでしか表現できない描き方でした。本当に重い話ですが、アニメーションオリジナルのカットも描かれていてとにかく素晴らしい。1期からぜひ見てくれ、頼む!
ただシリアス展開が続く訳ではなく、物語はギャグなども織り交ぜてライトに進んでいき、『ドラゴンボール』みたいな激アツな戦闘シーンが多く描かれています。でも、ひとつひとつの深掘りするとグって心を掴まれるエピソードが振り込まれていて、映像としても素晴らしい仕上がりになってます。
2期ではとにかく明るいキャラクター“ジジ”を巡るエピソードから始まって、俺たちの写し鏡みたいなキャラクター“坂田金太”も活躍を見せてくれます。特に音楽室でオカルンとモモがベートヴェンたち音楽家と戦闘するシーンは、原作の戦闘を最大限までアニメーションで膨らませた素晴らしい動きとなっています。令和の“交響曲第9番”はこれかぁ、となります。エヴァのカヲルくんのやつです。
ギャグとシリアスの反復横跳びで身体が強くなること間違いなし、おすすめの作品です。


