■死の淵から蘇った…ヒソカの「伸縮自在の愛(バンジーガム)」

 奇術師のヒソカは、クロロとの決闘で死を覚悟したとき、“死後強まる念”として「伸縮自在の愛(バンジーガム)」を発動させ、自らを心臓マッサージするように仕込んでいた。大胆な賭けではあるが、死因が酸欠による窒息だったこともあり、思惑どおりに死の淵から生還を果たしている。

 ここで注目したいのが、これを経てヒソカの念能力がパワーアップしているのかどうかだろう。結論をいえば「伸縮自在の愛」と「薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャ―)」の両方が、強化されていると考えられる。

 「伸縮自在の愛」は本来、ヒソカの体から離れると強度が落ち、10メートルも伸びればちぎれてしまう。しかし復活後、彼が天空闘技場から去るとき、体から離した状態でも幻影旅団員・マチ=コマチネの動きを完璧に封じていた。強度と持続性の点においては、明らかに能力が強化されているといえるのではないだろうか。

 次に、物質の表面にさまざまな質感を再現させる念能力「薄っぺらな嘘」。復活後、ヒソカは自身のオーラ自体に質感を再現させ、負傷したアゴや足を形成している。もしも戦闘前から使えた能力であれば、クロロとの対戦中に負った傷をその場で治していただろう。

 つまりヒソカは死を経験したことをきっかけに、それまではできなかったことが可能となっているのである。このことからヒソカの念能力は、“死後強まる念”によってパワーアップしていると結論づけて良いだろう。

 

 ここで紹介した3つの念能力を見てみると、“死後強まる念”による強化は、死んだ念能力者の意志や目的が強く反映されると考えられる。

 しかし、その発動条件や強化の程度についてはまだまだ未知数な部分も多く、これからどのような能力者が現れ、物語にどんな影響を与えるのかは予測不可能だ。

 現在連載中の「王位継承編」において、重要な役割を果たすかもしれない“死後強まる念”。ファンのあいだでは期待がますます高まっている。

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