■『ドラクエ2』主人公たちのその後

『ドラクエ2』は、3人の勇者(ローレシア王子、サマルトリア王子、ムーンブルク王女)が世界を救う物語だ。しかしエンディング後の運命は語られず、彼らがどう生きたのかは不明のままである。

 外伝作品である『ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート』では、舞台が『ドラクエ2』から数百年後とされ、当時の国々や勇者の痕跡が描かれている。しかし、その内容は驚くほど厳しい。

 ラダトームはアレフガルドごと海底に沈み、ローレシアは城は残っているが、ローレシアの王子の子孫たちが支配しているわけではない。サマルトリア王は、ロトの血を引いているか疑わしく、デルコンダルでは共和制が敷かれるなど、勇者たちが平和をもたらした世界の秩序は大きく変質していた。

 しかし、「ロト伝説」そのものは言い伝えられているようで、ロトの勇者たちの存在が闇に葬られたわけではないようだ。これは『ドラクエ2』エンディング後の物語を想像させる大きな余白となっている。

 加えて、HD-2D版『ドラクエ2』ではサマルトリア王子の妹が新たに仲間に加わることが判明している。彼らの冒険が従来以上に掘り下げられるなら、「勇者たちのその後」に光が当たる可能性もある。ファンにとっては見逃せないポイントだ。

『ドラクエ1&2』は、シンプルな物語の中に多くの謎と余白を残している。これまでにSFC、GBC、アプリなど、さまざまなプラットフォームでリメイクや移植がされてきたが、ファミコン版からストーリーでは大きな変化はなかった。

 HD-2D版『ドラクエ3』で数多くの追加要素が導入されたことを考えれば、新リメイクでも世界観を補強する仕掛けが加わる可能性は高い。

 竜王がなぜ闇堕ちしたのか。勇者の出自はどのように補強されるのか。そして2人の王子と1人の王女、その後の運命はどうなるのか。ロト伝説をめぐる深掘りがどこまで行われるのか。2025年10月の発売は、長年のファンにとっても大きな節目となりそうだ。

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